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2012/07/04

Book:倒産法の新作二冊

倒産法関連の新刊本二冊を紹介する。

山本克己先生編著の破産法・民事再生法概論は、執筆陣に佐藤鉄男・中大教授、長谷部由起子・学習院大教授、畑瑞穂・東大教授、山本弘・神戸大教授を加え、表題通り破産法と民事再生法とをコンパクトなサイズで、しかし充実した内容で解説したテキストである。

破産法と民事再生法とは、新司法試験の倒産法範囲でもあり、例えば伊藤眞先生の破産法・民事再生法 第2版のように、まとめて一冊にされることがある。本書もこれに習っている。
ただし、伊藤眞先生の教科書が第一部・破産法、第二部・民事再生法と二部構成になっているのに対し、本書は破産法と民事再生法とを同時並行的に扱っており、特に内容的に重複する倒産実体法では目次を見ても破産法と民事再生法とは区別しない章節建てとなっている。
この流儀は、古くは谷口安平先生の『倒産処理法』や霜島先生の『倒産法体系』、近いところでは
倒産法概説 第2版が同様だ。

学習の便宜としていずれが分かりやすいかは議論の別れるところだろうが、一冊の書物で両分野を扱う限り、重複部分は一本で行くことになるだろうし、読んでみれば大差はないかもしれない。

もう一冊の倒産実務交流会編『争点倒産実務の諸問題』(青林書院・2012)は、大阪の倒産実務交流会での議論をまとめたもので、弁護士の論稿に研究者がコメントを付けるという形式で論点ごとの検討が示されている。
中西正・神戸大教授の推薦文によれば、各テーマについてまず準備会として報告予定者と幹事らが検討会を行い、次いで本研究会が行われ、その後に雑誌・銀行法務21に掲載する論文原稿の検討会が行われ、一つのテーマについて3回の検討の機会を経て論文化され、これを書物にまとめたものだ。

意欲的な書物であり、倒産法の学習にも有用である。

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