action:住基ネット訴訟は何件あったか?
一世を風靡した住民基本台帳ネットワークに対する違憲・違法訴訟は、昨年のいわゆる北海道訴訟に最高裁が上告を退ける決定(おそらく)をしたことで、最終的に終了した。
この間、全国で17件の、住基ネットを違憲・違法として少なくとも自己の情報を載せるな、慰藉料を支払えとの訴えが提起されていた。
その中で、原告の主張を認め、住基ネットはプライバシー侵害になるとの判断を示し、請求を一部でも認めた例は以下の二つであった。
金沢地判平成17年5月30日判タ1199号87頁
大阪高判平成18年11月30日判時1962号11頁
その他の下級審裁判例はすべて住基ネットを適法とし、プライバシー侵害を認めないものであった。
そして、上記の大阪高裁判決などに対する上告審として、最高裁が平成20年3月6日に判決を下し、大阪高裁判決を破棄して原告の請求を棄却した一審判決を支持する自判をした(民集62巻3号665頁)。
その内容は、本ブログでやや詳しく紹介していたので、そちらを参照されたい。
ともかく、平成20年以降最高裁の見解が示されたことで、昨年の北海道訴訟上告審に至るまでの住基ネット適法とする司法判断は固まっていた。
今後は、いわゆるマイナンバーがどうなるかということに関心が移るだろう。いや、そもそも法律はできるのかという問題は、現時点でもまだ残されているが。
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