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2012/05/28

consumer:消費者月間シンポジウム

5月は、消費者月間ということで、消費者庁主催のシンポジウムが三田共用会議所で開催されている。

消費者力と連携力というテーマのシンポだが、まずは消費者力をテーマに村千鶴子先生がご発言。
消費者力と銘打っても、一人で大丈夫な消費者ということを意味するわけではない。消費者力を身につけるためには、生涯学習が必要。消費生活に必要な様々な知識を学び、また取引にあたっての慎重さを身に付けること、そして被害事例や問題情報の行政に対する情報提供や意見交換、仲間を作ること、これらが消費者力の要点であり、連携力と消費者力とは切り離せない。
次の山岡氏は、消費者力を「いい買い物をする力」と総括し、難しいことをいう必要はないといいつつ、これをパラフレーズしていく。
次の和田氏は、相談を受けている立場から、消費者力というテーマを見た時、「えっ?」と思ったという。NPO法人エールの活動から考えると、そもそも相談を待っていたのではダメという。障碍者、高齢者を対象とした支援が主な活動であり、寄り添って支えるということが基本となり、消費者教育や啓発ということはちょっと違うかな、という。消費者力が必要なのは、回りで支える仕事をしている人たちこそだいわれている。
最後に福嶋長官が行政の立場から、消費者力とこれを支援する行政の情報提供の役割という話をされた。
情報提供といってもWebに載せたりするだけではダメで、本当にその情報を必要としている人たちに届くような工夫をする。例えば、幼児用自転車座席のリコールを、単に発表しただけではリコール率が上がらない。保育園や幼稚園にビラを撒くなどしてようやくリーチできたという例のように。

再び村先生、消費者被害を受けた人が、自らを被害者と認めることの心理的困難と、被害者と自己認識した時の精神的な辛さを乗り越える強さをどうやって身に着けてもらえるか、打たれ強さとも表現されたが、この精神的な打撃をどう扱ったらよいかが弁護士にしても支援者にしても一番困っていることだという。

次は連携力。村先生は、行政と一人一人の消費者、法律と一人一人の消費者を結びつけるような仕組みを作る必要があると述べる。都会化により壊された地域コミュニティの再構築、ないしはそれに変わる連携力が大事、ということだ。
 その点については、個人情報保護法の問題を思い出さざるをえない。札幌での姉妹餓死事件などにも見られるように、情報が必要な人に届くような仕組みも壊滅的であれば、それをせめて代替するような行政の役割も、ただでさえ縦割りといって批判されているのが、個人情報の保護を口実にしてますます縦割りの弊害が強くなった。行政内でさえそうなのだから、民間ボランティア団体が何かやろうとしても必要な人にリーチできないだろう。
 もちろん、かと言ってプライバシーがダダ漏れで良いとは言えないのが難しいところだが。

シンポジウムはまだまだ続く。

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