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2012/03/15

jugement:シャル・ウィ・ダンスの振付に著作権はあるか?

東京地判平成24年2月28日PDF判決全文

シャル・ウィ・ダンスの振付・演出をした舞踏家、わたりとしお氏が、角川映画を承継した角川書店にたいし、自己の著作権を侵害したとして賠償を求めた訴えについて、判決が下された。

結論は請求棄却であった。

ダンスの振付にむやみと著作物性を認めてしまうと、そもそもダンスをすること自体が過度に制約されてしまうおそれがある。そこで判決は、振付が基本ステップに多少のアレンジを加えただけでは著作物性を認めるに至らないとし、次のようにいう。

既存のステップの組合せを基本とする社交ダンスの振り付けが著作物に該当するというためには,それが単なる既存のステップの組合せにとどまらない顕著な特徴を有するといった独創性を備えることが必要であると解するのが相当である。

これはアレンジを加えたり新たな動きを加えた場合でも同様だとし、具体的に映画のダンスシーンすべてをつぶさに検討し、著作物性がないとした。

この判決を前提に、以下は応用的考察。

例えばフラッシュダンスのようなダンスシーンだと、著作物性はあるのだろうか?
あるいはエグザイルのようなダンスはどうか?

これらは社交ダンスのような基本ステップにアレンジを加えたり、組み合わせたりといったものではないので、本件のダンスよりは著作物性を認められやすいだろう。
ただ、ブレークダンスも定番のパターンなどは基本的にパブリックドメインで、誰でも踊れて、またどんな映像に使うのも自由ということになった方がよさそうだ。

この意味で、本判決は社交ダンスだけに当てはまるものではない。

ところで、ちょっと前にピンク・レディーのダンス振付をダイエットに応用することが違法かどうかが争われた判決があったが、あれはダンスの複製をしたのではなく、ピンク・レディーの写真を使ってダイエットダンスを解説したものであった。その写真の無断使用がパブリシティ権侵害になるかどうか問われたものであり、もしピンク・レディーの振付をそのまま真似たダンスビデオをダイエット用に売りだしたのだとすると、さてどうだろうか、振付を考案した人の著作権侵害ということになったかもしれない。
もちろん、著作権侵害は、侵害された著作権者が文句を言わない限り、別に問題はない。一時期は誰もが真似をして、国民的な踊りにもなったし、NHKの朝ドラでも双子に踊らせていたようなピンク・レディーの振付であるから、考案した人が著作権侵害だという可能性もほとんどなさそうだ。
その点でセーフだろう。

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コメント

モーリス・ベジャールの「ボレロ」や、Mジャクソンの特徴ある振付なら著作権性が認められやすいということでしょうか。

投稿: 学生A | 2012/03/18 04:18

少なくともこの判決からは、そう言えると思います。

投稿: 町村 | 2012/03/18 16:18

ベジャールについては下級審判決が出ています(百選で私が解説を書いています。)。

投稿: 小倉秀夫 | 2012/03/19 13:42

未読でした。読書百遍致します。
ありがとうございましたm(_ _)m

投稿: 学生A | 2012/03/19 21:51

こんにちは、吉野と言います。

そうか、ダンスにも著作権は
認められるんですね。

全然知らなかった。。。

投稿: 活性酸素撃退◆吉野ゆう | 2012/03/20 11:42

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