univ:募集停止・廃校となる短期大学に起きていること
専修大学北海道短期大学は、美唄にある短大で、その名の通り、東京の有名私大の系列である。
昭和43年開学というから、新設校というわけではない。しかし、一昨年4月に募集停止を決定し、その時の新入生が卒業を迎えるこの春、閉学する予定であった。→専修大学北海道短期大学 学生募集停止のお知らせ
しかしどうもそう順調には行かないようである。
一つには、教員の雇用問題で、地位保全の仮処分を申請している。→道新記事の転載:専修道短大教員が仮処分申請、校舎・学生どうなる 地元困惑
専修大学道短大の教員8人は昨年12月、法人を相手取り、地位保全を求める仮処分を札幌地裁に申請、今月7日に1回審尋の後、地位保全を認めるかを裁判所が決定する。これまで法人は希望退職に応じない教員に3月末で解雇する考えを示しており、配置転換を求める教員側に歩み寄る姿勢を見せていない。教員側代理弁護士は「最終的には訴訟になるだろう」と説明する。
この8人の方々がどなたかは分からないが、専任教員のリストは大学のウェブページにある。
そしてそれを見ていて驚いたのだが、法学系の科目も憲法I,II、刑法I,II、民法I,II、商法I,IIと8科目にわたって存在する。そのすべてを、一人の教員が担当することになっている。その方の専門は民法・労働法となっている。
専任教員を補充するなどということは論外だが、非常勤教員を手当てすることすらもしなくなって、民法の先生が憲法も刑法も教えるという態勢になるのが閉校までの過程というわけだ。
しかしこれでは、すべての在籍学生が卒業するまで大学を開いているということ自体、形骸というべきであろう。
その学生も、順調には卒業してくれなかったようだ。
こうした中、3月末に予定通り閉校できるかという問題も浮上している。短大側によると、2年生141人が在学しているが、現時点で本年度のすべての単位を取得しても卒業できない学生が数人いるという。2月上旬に判明する期末試験の結果次第では留年者が増える可能性がある。同校は文部科学省に提出した学生募集停止の報告書に「(学校は)在学生が卒業するのを待って廃止する」と明記しており、同省高等教育企画課も「学生がいる限り閉校できない」と話す。法人側は仮処分申請や閉校時期について、事実関係は裁判の中で明らかにする」と述べるにとどめている。
実際上、この3月での閉校は無理であって、最低でもあと1年は大学を開いておかざるをえないのではないか?
さて、このような事態に至って教員の解雇問題も生じているのは、ここだけではない。
H22年度~23年度(1月迄)に文部科学省へ廃止認可申請が提出された全国大学・短大の一覧
北海道私大教連というところがまとめた情報によれば、東京田中短期大学は専任教員7人を全員退職させ、群馬松嶺福祉短大は全員希望退職させ、山脇学園短大も全員退職させている。
退職ばかりでなく、事務職への配置転換という例も、上記サイトのまとめにはチラホラ現れている。
こうした現状は、明日の法科大学院の姿ではなかろうかと、漠とした不安を禁じ得ない。
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コメント
この大学では学内、関連校含めて大騒ぎ。この責任はこのブログにある。
投稿: 佐々木実之 | 2012/02/09 18:03