arret:犬の気持ちは裁けるか?
報道によれば、犬が別の犬と飼い主とに襲いかかって噛んだとして、240万円の損害賠償を求められた裁判で、大阪高裁は120万円の賠償を認める判決を下した。
読売online:「犬の好意」高裁認定せず かみつきに賠償命令
写真はいずれもWikipediaより。
高裁判決が認定した事実によれば、原告は2008年4月、ラブラドルレトリバー(写真上)の散歩中、道路沿いの被告宅から門扉を越えてきたゴールデンレトリバー(同下)に追いかけられ、原告自身とラブラドルレトリバーの足にかみつかれた。いずれも擦り傷で、原告は肘も痛めた。
そこでラブラドルの飼い主がゴールデンの飼い主に賠償金240万円の支払いを求めた。
これに対する一審判決が、非常に興味深い。
目撃証言から噛み付きはなかったとした上で、なんとゴールデンレトリバーがラブラドルレトリバーを気に入って以前から追いかけており、要するに好意をいだいていたのだから、噛み付いたりはしなかったと判断したのである。
部外者としては、なかなか味な判決という感じがするが、いかんせん高裁の裁判官には通じなかったようで、目撃者も一部始終を見たわけではないとして信用性を否定し、犬の気持ちよりも怪我の跡を証拠として噛み付きがあったと認定し、120万円の賠償を命じたのである。
いや、人間社会でも今やストーカー防止法により、恋愛感情を持ってつけ回すのはご法度であり、怪我をさせたらとても許されるものではない。犬の世界も、宥恕はされないということであろう。
なお、記事によれば、いずれの犬もメスとのことであった。
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