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2012/01/10

work:賞の選定作業

とある団体の賞の選考委員となり、その資料を読み込んでいるところである。
私の場合、どうも世の中を甘く見ている傾向があり、仕事を引き受けてから「しまった」と思うことがしばしばあるのだが、この賞も思いのほか大規模で、選考委員には重い負担がかかることが今にして分かった。というかその渦中である。

選考委員としての経験がさほどあるわけではないが、賞の選考は多くの場合共同作業だ。一人で全権をもって審査するということは、私には経験がない。

ただし、共同作業といっても、選考対象を予め振り分けて、一人がいくつかの候補を評価して、最終的に全体会で評点を比較するというやり方と、最初から全体会で全員で評価するというやり方がありうる。パフォーマンスの評価なら当然、全員評価が原則だろうが、研究業績の賞で候補も多いのであれば、選考委員が手分けして評価して、全体会で調整するというやり方にならざるを得ない。

それでも今回の賞は候補作が多く、部門にもよるが、一人10件以上の候補を審査しなければならない。ということは一人10件以上の研究業績を読んでまとめねばならない。これを1ヶ月程度でやるのだから、大変である。

年が明けるまでは、別の仕事に忙殺され、それも実は年明けにまだ残っているのだが、にも関わらずこの賞の選考期限が迫ってきており、今は他の宿題をこなすゆとりがない。

さて、選考対象は自薦・他薦の候補たちだが、テーマが一本に絞られた懸賞とかと違って、法学分野の中で優れた研究業績という程度に幅広いので、全然内容の異なるテーマの研究について優劣を付けなければならない。
だいたい、刑事法とかと環境法とか、あるいは法学方法論と知的財産と、どうやって優劣が付くのか疑問だ。各分野ごとの優劣でも、その研究テーマはそれぞれに独創性や新規性があり、そう簡単にいずれが優秀かなどと評価はできない。

業績審査では、実質審査をするのが難しいものだから、ついつい点数主義、すなわち研究業績がいくつあって、しかもその中で査読を経たものが何本かという数量に頼りがちである。しかしそれでは、巻頭コラムみたいな書きなぐり雑文と紀要に掲載された何年かの研究蓄積を踏まえた論文とが同一点数になったりするし、形ばかりの査読を経た商業誌論文とほとんど本のような重厚な紀要論文とで商業誌論文の方が高く評価されたりする。
やはり、中身を読まないと、評価はできない。

今回の賞は、自薦・他薦の推薦書(申請書というべきか)を元に、研究業績も見るので、推薦書の書き方もまた重要になる。限られた時間で業績のすべてを読み込むのにも限界があるし、推薦書で研究業績の内容が端的に示され、その重要性について説得力ある説明が端的になされていれば、それが一番の高評価となる。その上で研究業績を読んで裏付けを見る。
反対に、推薦書に内容が抽象的にしか示されていなければ、具体的に意義のある研究を審査委員が業績から探しださなければならない。それをきちんと見出すのが審査委員の仕事ではあるのだが、審査委員の能力や限られた審査時間の限界から、見逃されることも当然ある。

かくして、伝えたいことは明確に、それと分かるように伝えるというコミュニケーション能力が重要というわけである。

さあ、仕事に戻ろう。

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