nuk:李下に冠を正さず
解説の必要がないくらい普通の故事だが、要するに「疑いを招くようなタイミングで疑わしい行為をするな」ということである。
これを応用するなら、特定企業とか特定業界から政治献金をもらったりパー券を買ってもらったりした議員は、当該企業ないし業界の利益となるような施策をすべきでない、差し控えるべきということになる。
理不尽かもしれないが、事実上の贈収賄を避けるにはそれしかない。そして政治家たるもの、それくらいの廉潔さは持ち合わせていて欲しいものだ。
しかし、報道に現れる仙谷由人氏の言動は、この種の廉潔さを全く持ち合わせていないように見える。
民主党の仙谷由人政調会長代行は7日、徳島市で講演し、定期検査で運転停止中の原子力発電所について、「風力や太陽光の発電装置を作り、送電網を引くには時間がかかる。やはり(原発の)再稼働が相当程度必要だ。原油や天然ガスを倍くらい買わないと電力供給が安定しない」と述べ、政府は再稼働を決断するべきだとの考えを示した。
この発言それ自体は、議論の余地のあることではあっても、全く不当なこととか、不法なこととかいうことはできない。使用済み核燃料のことを度外視すれば、高価な原発をすべて腐らせることには反対が多かろう。そのコストを負担させられるのは納税者か電力需要者しかいないのだから、そのことを認識すればみんな反対だ。
ただし、しつこいようだが原発を運転して生み出される使用済み核燃料の処理コスト(現在のところ無限大)を度外視すればだが。
ところが、仙石氏には電力業界からの金が行き渡っているのである。
朝日.com:東電、10議員を「厚遇」 パーティー券を多額購入
東京電力が電力業界での重要度を査定し、自民、民主各党などで上位にランク付けしてパーティー券を購入していた計10人の国会議員が判明した。電力会社を所管する経済産業省の大臣経験者や党実力者を重視し、議員秘書らの購入依頼に応じていた。1回あたりの購入額を、政治資金収支報告書に記載義務がない20万円以下に抑えて表面化しないようにしていた。また、東電の関連企業数十社が、東電の紹介などにより、多数の議員のパーティー券を購入していたことも判明した。
複数の東電幹部によると、東電は、電力業界から見た議員の重要度や貢献度を査定し、購入額を決める際の目安としていた。2010年までの数年間の上位ランクは、いずれも衆院議員で、自民では麻生太郎、甘利明、大島理森、石破茂、石原伸晃の5氏、元自民では与謝野馨(無所属)、平沼赳夫(たちあがれ日本)の2氏。民主では仙谷由人、枝野幸男、小沢一郎の3氏だった。
李下に冠を正さずという観点から言うならば、これらの人々は電力業界の利益になることをいうべきではない。基本的な廉潔心を持ち合わせているならば、電力業界が多額の費用を投じて推進してきた原子力依存構造を今後も推進すべきとは言うべきではないし、その電力業界が最も痛みを受けることになる構造変革に反対の声を挙げるべきではない。
それは、実質的に見て、贈収賄の疑いを招くことである。別名、ズブズブの関係とも言うが。
マルチ業界から積極支援を受けてマルチ商法擁護の論陣をはったりすれば、ああ、あいつはマルチ業界の手先だなと見做され、ある種の大臣職についたりすれば問責決議を食らったりする。そんなのを大臣にする方が悪いのだが、ともかくそういう評価になる。
電力業界から特に多くの金をもらった議員たちも、その後の言動によっては同様の目で見られることを覚悟すべきである。
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