Book:nuk:政府は何を隠してきたか、復習本
原発事故以来、まもなく1年が過ぎようとしている。人間の記憶は薄れるもので、リアルタイムで見てきた原発事故対策について、その都度その都度抱いてきた不安や不信は何に原因があったのか、ハッキリしないまま、イメージだけが薄れていく感もある。
しかし、この間の経緯には忘れてはいけないこと、大切な事がある。それは原子力発電の今後を考える上でも貴重な経験だ。原発を運営している人たちが、現に事故が起こったときにどういう行動をするのかということ、緊急事態だからといって許されることと許されるべきでないこと、これらは将来について私たちが選択するに際して念頭におかなければならない。
そのための必携書はいくつもあるが、不可欠な一冊と位置づけられるのがヤメ蚊こと日隅さんと木野さんの共著『検証 福島原発事故記者会見』だ。
日隅さんにとっては、命を削りながら作った感のある本書だが、以下の項目が取り上げられている。簡単に感想を記しておこう。
・メルトダウン
メルトダウンの事実は事故直後から分かっていたことなのに、それを言い繕い、損傷と過小評価し、無駄な水棺作業などに時間潰しを行なって対策を遅らせた。事故対策の実務を行う責任者として、最悪の態度ではないか。
これと九電のやらせや知事関与を認めようとしない態度とがオーバーラップする。
・SPEEDI
これに至っては、もう何というか、住民の安全は二の次であると考えていたということだ。何を守りたかったのかは全く不明である。
・「想定外」
「想定外」は無過失を意味しない。かえって予見義務違反を基礎づける言葉ではないか。しかしやはり「想定外」というのが責任逃れに使われるようである。
以下、プルトニウム、作業員の被曝、汚染水投棄問題、工程表、フリージャーナリスト排除、低線量被曝が出てくる。
ここで取り上げられていない話題もまだまだ有りそうだが、そういうのも含め、継続的な情報取りまとめ発信を期待したい。
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