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2011/11/12

law:賃金不払いは不法行為か?

昨日の裁判所における研究会では、こんな問題意識から、建築瑕疵による損害賠償請求権が注文主の地位を引き継いでいない居住者に帰属するかという問題を取り上げられていた。

取り上げられた裁判例は以下の、同一事件における上告審と再上告審
最判平成19年7月6日民集61巻5号1769頁
最判平成23年7月21日(裁判所WEB
→原文を見たい人は判決検索システムでどうぞ

(ご指摘により日付を訂正しました。ご指摘ありがとうございます。)

直接の契約関係に立たない建物の買主と、その建物を建築した請負人や設計関係者との間について、契約法上の担保責任は成立しないので、後は不法行為責任が生じるかどうかが問われた。

原審は二度にわたって不法行為責任が生じないとしたのに対し、最高裁は二度にわたって不法行為責任が生じるとした。
その判決文では、不法行為責任が生じる場合として、建築物の基本的な安全性が欠けるような瑕疵があることとしており、報告ではこれを不法行為責任の発生する場面を限定したものと理解して紹介していた。

もっとも、判決の射程という点から見れば、原審が不法行為責任不成立としていたのを破棄するためにどういう場合に不法行為責任が発生するかを述べたものだから、その範囲を超えて不法行為責任が発生しないという判示はいわば傍論である。
それはともかくとして、傍論も含めて最高裁判決は不法行為責任の発生が「基本的な安全性」を欠く建物を作った場合としたので、そのような限定の当否は問題となりうる。

それで冒頭に掲げたような、賃金不払いを不法行為だとする主張に戻るが、不法行為に基づいて未払い賃金を過去3年にわたって認めた裁判例が、高裁段階でも現れているそうである。

しかし、金銭債務とか与える債務について、その債務を履行しないことが不法行為に当たるとしても、その損害賠償は履行しないことによる損害、すなわち遅延損害であり、金銭債務そのものは不法行為に基づく損害賠償の対象ではないだろう。
ということで、債務不履行が原則として不法行為と請求権競合の関係にあるといっても、未払い賃金請求が不法行為債権となるというのは支持できない。

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コメント

law:賃金不払いは不法行為か?の中の、
『最判平成23年7月23日(裁判所WEB)』の日にちは間違いで、
『最判平成23年7月21日(裁判所WEB)』です。
いつも拝見させていただいています。ありがとうございます。
和歌山の弁護士・弁理士です。

投稿: 玉置 健 | 2011/11/12 14:11

ご指摘により日付を訂正しました。ご指摘ありがとうございます。

投稿: 町村 | 2011/11/12 16:22

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