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2011/11/22

jugement:過払い金返還請求の手法本が著作物性なしとされた事例

名古屋地判平成23年9月15日PDF判決全文

この判決によれば、法律に関する解説本を書いたとしても、それが著作物だと認められるハードルはかなり高いと言わざるを得ない。
過払い金返還請求に関する解説本で、判決の認定によれば「過払金の説明、法的問題点、裁判例の分析、貸金業者との交渉方法、過払金返還請求訴訟の開始から終わり方等の説明に加えて、実務にのっとった説明を盛り込み、フローチャート、表、書式等を用いるなどして、効率的に理解できるようにしたもの」が原告の本だ。
これについて全体としてみれば、「著者の思想を創作的、個性的に表現した著作物であると認めることので きるものとなっている」というのだが、個別の表現は、すべて独自の表現とは認められないという意味で著作物性が否定されてしまった。

個別の表現が著作物性なしとなれば、全体が著作物になりうるのがどういうときなのか、疑問なしとしないが、何れにしても被告の主張にある、「原告各表現は、表現の幅が狭く、仮に、著作物性が認められるにしても、著作権侵害になるのは、デッドコピー又はそれに類似する場合に限られる」ということを結果的に認めたに等しい判決である。

著作物性はないとしても、額の汗をどうしてくれるということで、不法行為による損害賠償が考えられるところだが、それについても裁判所は認めなかった。
全体としてデッドコピーではなく、異なる書籍と認識できるからという理由だが、例の読売Online事件の不法行為成立を認めた判断との違いは、微妙ではある。

それはともかく、原告の書籍も、被告の書籍も、どちらも「第1回公判前の和解」などと書かれているようだ。
本当に弁護士が書いたのかと疑いたくなるような表現だが、まさか刑事公判の話がでているわけでもあるまい。こんな表現ぶりもそのままコピーしちゃったのだから、被告側としては依拠して書いたことを
否定することは困難だ。

本判決は、原告・被告それぞれ弁護士であり、その他の関係者は弁護士会とか出版社とかだが、それらのすべてが徹底して匿名化されている。
匿名にしないと、社会的評価が低下すると裁判所は考えたのかもしれない。「第1回公判前の和解」というあたりにその片鱗が感じられるのだが、どうだろうか?

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コメント

なにわ金融道、ミナミの帝王くらいまでいかんとあかんのでしょうね。
ps
(プライベートなので省略可というより、お願い)
OMCのページできてます。一度例のはやりのブックで見てみてください。

投稿: bamboo | 2011/11/22 16:08

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