« arret:競売請求認容判決の判決効の主観的範囲 | トップページ | FBやTwitterのメッセージはEメールに代替する? »

2011/10/22

consumer:景表法と商標法との衝突可能性

今日出席した研究会で聞いた面白い話。

名古屋大学の知財の鈴木先生が発表された中で言及されていたのだが、商標法も不当な表示規制として機能するし、景表法はもちろん不当表示を規制する。
この限りでは両者は消費者の利益保護という点で一致するのだが、両者が対立することがありうる。

例えばニセモノ業者が、商標権を有する本物業者からライセンスを取得したという場合、ニセモノに本物の商標を付けても商標法上は問題がない。
ところが景表法的には、4条が以下のような表示を禁止している。

商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

本物とニセモノとが全く遜色の無い品質を備えているのであれば、ただブランド価値だけの問題であるから、ラベルを正当につければそれで問題なしとも言える。しかし品質が著しく劣る製品に、高品質のラベルを貼れば、これは優良誤認をもたらすことになろう。

例えば、インテル社が、どこかの国で安かろう悪かろうで作ったチップにインテル製品との表示を認めたとして、それを購入した消費者はインテル製品の品質を備えていると誤認するであろうし、品質が劣れば損害が生じる。景表法違反行為は適格消費者団体の差止請求権もあるので、そのような不実のインテル製品との表示をするなという訴訟も起こせる。
しかしこれに対して偽インテル業者が、ライセンスをタテに、偽ではない、正規にインテルと名乗れると主張したらどうなるであろうか?

鈴木先生によれば、ドイツでは商標ライセンスが景表法に優先し、ライセンス付与権を阻害しないような立法がされているそうだ。

しかし、鈴木先生も結論を留保しつつも懐疑的であったが、私が思うには、ライセンスを取得したからといって品質の劣る製品を高品質のものと誤認させる表示が許されるわけではないはずである。

例えば、自社製品内で考えてみれば、ロイヤルゼリーという商標権を有する業者が、ただのはちみつにロイヤルゼリーとの商品名をつけて売れば、これは違法であろう。本来ロイヤルゼリーとは女王ばちになるための特別な蜜であるはずのところ、そうではないものにそのような表示をつければ上記の景表法の規定に触れる。
これと同様に、ライセンスなり商標権なりがあっても、それが優良誤認をもたらすのであれば、やはり景表法違反となってしかるべきなのである。

商標権者のライセンス付与権は制約されるべきではないが、誤認混同を招くような名称利用にライセンスを与える権利はもともとないはずだ。

本日の研究会は、この他にも面白い話題が満載で、これを聞きたい人は来月5日の消費者法学会(於京都大学)においでませ。

|

« arret:競売請求認容判決の判決効の主観的範囲 | トップページ | FBやTwitterのメッセージはEメールに代替する? »

消費者問題」カテゴリの記事

コメント

>例えばニセモノ業者が、商標権を有する本物業者からライセンスを取得したという場合、ニセモノに本物の商標を付けても商標法上は問題がない。

商標法53条の取消審判の対象になるのではないでしょうか?

投稿: 田中 | 2011/10/22 21:14

その点も鈴木先生は言及されていましたが、積極的に運用されていないということでした。

投稿: 町村 | 2011/10/22 22:10

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31412/53056777

この記事へのトラックバック一覧です: consumer:景表法と商標法との衝突可能性:

« arret:競売請求認容判決の判決効の主観的範囲 | トップページ | FBやTwitterのメッセージはEメールに代替する? »