consumer:褒め上げ商法
Techinsight:相談者の6割以上が高齢者。都が注意喚起。秋口に多い「褒め上げ商法」とは?
いわゆる紳士録商法と似た、自費出版とか文芸書投稿、展覧会への出展などを有料で引き受ける商売で、「あなたの作品は素晴らしい」が殺し文句というわけである。
契約を一度結ぶと、同様の勧誘が他社も含めて短期間に次々と入ってくるケースが多く、最初は無料と説明されていたにもかかわらず後から金銭を請求されるケースもあるという。 都内だけでも平成21年度には181件、昨年度には210件の苦情・相談が都消費生活センターに寄せられており、その7割近くは60歳以上の高齢者だ。相談事例の中には次のようなものがある。
件数的にも被害額的にも、まだ萌芽的な段階にあるが、今後、高額な被害が多発するおそれがあり、早い段階で注意喚起しておく必要がある。
それにしても、いわゆる次々と同様の勧誘が来るとか、無料といって後から金銭請求が来るという構造は、ネットの商取引によく見られる。
いわゆるフリーミアムは、実際にはほとんどの場合にお金がかかるにもかかわらず無料といって誘いこむ手口であるから、不実告知とか有利誤認とかいう単語が思い浮かぶ。それも、健全な常識を身につけた大人が自己責任でやるのなら問題はないが、無思慮な若者・未成年者をターゲットにする辺りがあざとい。
その点、上記の高齢者をターゲットとした褒め上げ商法は、時間と金とプライドの持ち主に巧妙に取り入る辺りが、商売の上手さだ。
例えば、このブログなどをあてどもなく書き散らしている人を見つけたら、「あなたのブログは素晴らしい、埋もれさせておくのは惜しい、是非出版を」などと言葉巧みに取り入ると、内心まんざらでもなくなってしまうのが人間というもの。
そのこと自体は不当取引とは言い難い。
不当なのは、有料なのに無料と騙したり、契約に至るまで時間的余裕や熟慮の時間を与えなかったり、高額の違約金を定めたり、あり得ないような成果を約束したり、約束したサービスを履行しなかったり、その手の勧誘方法や取引行動を駆使する場合である。
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