arret:内部通報者を不当に処遇するオリンパスに鉄槌
asahi.com:内部通報で配転は無効 オリンパス社員の請求認める判決
報道によると、「営業秘密を知る取引先の社員を引き抜くのは会社の信用を失わせる」と考え、上司や社内のコンプライアンス(法令、規範順守)室に通報した社員に対し、オリンパス社は、それまでの営業職と異なる調査研究業務や、品質保証の勉強をさせる配置転換を行い、しかも品質保証部門への配転後に「浜田君教育計画」と題した書類を渡し、初歩のテキストを勉強させ続けたという。
これに対して一審は、配転による不利益がごくわずかだという理由で請求を棄却した。
今日、東京高裁は、一審・東京地裁判決を変更し、配転命令が無効だとする逆転判決で、オリンパス社側に220万円の賠償も命じた。
報道のみで判決文はまだ見ることができないが、少なくとも上記報道を前提にすれば、オリンパスはひどいブラック企業だ。
コンプライアンス室とかいうのを設けているのがお笑い種で、東電の違法行為を東電職員から通報された国の機関がその職員名を東電に伝えるということがかつてあったが、それと同じくらいひどいレベルだ。
このブラック企業が、訴訟で負けたからといって真摯に受け止めて方針を変えるとは思えず、原告浜田さんの戦いはなおも続くのではないかと心配になってくる。
| 固定リンク
「裁判例」カテゴリの記事
- arret:性別変更に手術を必要とする規定の合憲性(追記あり)(2019.01.29)
- arret:刑事訴訟関係文書の提出判断者(2019.01.26)
- 民訴教材:裁量移送の申立てが棄却された事例(2019.01.13)
- arret:判例の射程について最高裁と高裁との見解が食い違った事例(2018.12.26)
- arret:接見交通権侵害が認められた事例(2018.10.25)
コメント