DV被害を検察審査会が不起訴不当と議決し、略式起訴
毎日jp:DV:一転、略式起訴 「不起訴不当」受け--札幌区検 /北海道
重要な問題だ。DVの司法における取り扱いを考える上でも、検察審査会の役割を考える上でも。
札幌検察審査会が4月に「不起訴不当」を議決した札幌市のドメステッィク・バイオレンス(DV)事件で、札幌区検は19日、当時交際中の女性(24)に暴行を加え、けがをさせたとして、同市西区の会社員の男(24)を傷害罪で札幌簡裁に略式起訴した。女性は事件の5カ月後、別の暴行を受けた直後にマンションから転落して意識不明の状態が続いており、父親は「検察には議決後、熱心に調べてもらったが、略式起訴で残念な気持ちもある」と複雑な胸の内を明かした。起訴状によると、男は08年8月5日、札幌市中央区のマンションの女性宅で、女性の腰を足でけるなどし、1週間のけがを負わせたとされる。女性は09年1月、自宅マンション14階から転落。女性の父親(51)が同6月、医師の診断書があった08年8月の事件について傷害容疑で男を告発していた。
事件について札幌区検は10年8月、容疑不十分として不起訴処分とした。しかし、父親の審査の申し立てを受けた札幌検察審査会は、男が継続的な暴行を認めた点や、隣人が男の怒鳴り声を聞いて警察に通報していることなどからDVを認定し、再捜査を求めていた。
今回の略式起訴について、札幌地検の広上克洋次席検事は「裏付け捜査の結果、起訴するに足る証拠が集まった」と説明。男は起訴内容を認めているという。
少し長い引用となったが、一読しただけではよく分からなかった。
要するに、2009年1月に自宅マンションから転落して意識不明となった女性について、その交際相手から暴行を受けたと考えた父親が、医師の診断書により裏付けられた過去の暴力に関して交際相手を告発したが、検察が不起訴処分としたというのである。
上記記事によれば、交際相手が継続的な暴行を認めており、かつ隣人の通報という事実から検審がDVを認定したというのだが、これらの事実が検審で初めて出てきたわけではあるまい。最初から、検察官もそうした事実を知りながら不起訴にしたのだろう。
ちなみに、暴行して傷害を負わせた場合に、略式起訴で済ませるというのはずいぶんと寛大な処分に思われる。このあたりは家庭内(といっても交際相手であって夫婦ではない)のことだからという、昔ながらのDV軽視の傾向が現れてるのではないか。
そしてマンションから転落したという事件の事情がこの記事でははっきりしないが、父親としては是が非でも、その事件の事情を明らかにしたいところであろう。
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