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2011/07/11

cinema:評決

シドニー・ルメット監督死去のニュースは以前にも取り上げたが、本日のゼミではそのシドニー・ルメット監督による「評決」を見た。


ストーリーは、もう古典的な映画なのでネタバレしてもよいであろう。

麻酔事故で植物人間になってしまった女性の家族から依頼を受けた落ちぶれ弁護士(ポール・ニューマン)が、入院中の原告を見ているうちに正義に目覚め、被告病院設置者の教会からの和解申出を蹴り、トライアルに持ち込む。そこで被告側の弁護士の策略で決め手となるはずの証人を失い、やっとの思いで見付け出した病院受付係に入院申込書の改ざんを医師から指示されたとの証言を引き出すが、その根拠となるコピーはオリジナルに劣後するというルールをタテにとられて万事休すとなったが、陪審は正義を実現した、というストーリーである。

これに、女スパイ(シャルロット・ランプリング)との色恋沙汰がからみ合って人間ドラマとなっている。

この映画、原作がパリー・リードであり、1980年の作品だから、電話がすごい。停電でも使える機械電話で、極めて物理的なベルが鳴り響くダイヤル式である。女スパイのホテルの電話はプッシュフォンだったので、その切り替わりの時期のようだ。もちろんMobileでもないし、そもそもパソコンも出てこない。
それはともかく、題材が医療過誤訴訟なので、専門家証人、日本で言うと鑑定人の役割がクローズアップされている。
エリートの白人医師の証言を取り付けたときはニューマン先生てっきり勝ったと思ったのだが、証人隠しにあって慌てて依頼した次の医師は黒人の上、鑑定証言を商売のネタにしている非専門医なのである。もう敗訴は明白とどん底に落ち込むのである。
1980年代の雰囲気では、鑑定証人が黒人というだけでもう誰もが絶望するという時代だったのだろう。

人種差別的な問題は取りあえず横に置くとして、鑑定人ないし専門家証人の判断や陳述と、裁判官による判断との関係がいかなるものかは、一般論としては簡単だが、具体的に問題を見ていくと整理が難しい難問である。

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コメント

医療事件ではありませんがコンピュータの初歩的知識が必要な事件がありました。担当裁判官が国立出身だから理系知識はある程度あるだろうと思って専門委員とか申請しなかったら途中で私立文系にかわったうえ、とんでも判決をもらったことがありました。高裁で逆転しましたが、専門委員の申請は常時いないところでもはやめにしておこう、とくに勝ちスジのときは、という教訓でした。

投稿: madi | 2011/07/12 03:54

そのお話では、むしろ専門委員は不要に思えても常に付けておこうという教訓に聞こえますが。

投稿: 町村 | 2011/07/12 20:59

分野によっては専門委員がいない裁判所もけっこうあるのです。で、いないところでも早い段階で申請だけはしておくべきだとおもいました。
 よそから呼ぶとお金がかかるのです。

投稿: madi | 2011/07/13 21:02

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