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2011/06/14

prosecutor:密室でないと萎縮する「検事」

なんとも情けない話だ。

読売online:初の全面可視化「検事が萎縮、追及できてない」

24日の弁解録取から、起訴直前の取り調べまでの全過程で録音・録画が行われた。1日約1~4時間、計約50時間の取り調べの様子がDVD約30枚に収められたという。

ということで、初めて取り調べの全過程を録音録画した事件が起訴されたことのニュースである。

記事にある衝撃的な、いや笑劇的な一節

DVDを見た検察幹部らは「取り調べた検事が、誘導や脅迫と受け止められることを恐れて萎縮したためか、十分な追及ができていない」と話す。

これが全過程の録音録画による弊害だか問題点だかとして指摘されているのだが、開いた口が塞がらなくなる。
この検事は、検察幹部の評価では、不当な誘導や脅迫と判断されるかどうかについて確固たる定見もないままに取り調べの実務を行っているということのようだ。
このことは言い換えると、「人に見られたら、まかり間違えれば不当な誘導・脅迫と捉えられかねない」と自分で思っている取調べ方法でも、誰も見てないならいいや、やっちゃえ、という態度で普段は取り調べを行っているということを意味する。

それなら検察内部で取り調べの監視を行う場合はどうだろう?
 その場合は、検察の仲間内だから、正当な取り調べのテクニックが不当な誘導・脅迫と解釈されたりしないという安心感があって、萎縮しないというのかもしれない。もしそれが仲間内でしか通用しない論理に基づいているのであれば、もっと萎縮してくださいというほかはない。もしそれが、検察内部では正当と評価される方法で、実際にも正当である、不当な誘導・脅迫ではないというのであれば、そのことを裁判官や裁判員に主張立証する責任は当然検察官にあるのである。

つまり、取り調べ方法が正当だといえるのは仲間内でそういえるというだけではなく、後に裁判官や裁判員に正当性を主張立証できる限りで「正当」といえるのだから、そうした「正当な取り調べ」を駆使して被疑者に真実を供述させてくださいというしかない。

これが法律のプロ、それも職業的な訴訟当事者でない一般人の場合なら、あとで裁判になったときに何を言われるか分からないからと過剰防衛的に振舞うこともあろう。しかし検察官までもが、そんな素人じみたことを言い出すとは。
正当な取り調べ方法でも萎縮してできなくなってしまうというのはプロの検察官としては実に恥ずかしい言い分ではないか。

被告人にすら見透かされて馬鹿にされている模様→検事、録画が始まった途端に優しい口調…被告

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