arret:民訴新判例:確認の利益がないとされた事例
表題部所有者の登記も所有権の登記もない土地を時効取得したと主張する者が,当該土地は所有者が不明であるから国庫に帰属していたとして,国に対し当該土地の所有権を有することの確認を求める訴えにつき,確認の利益を欠くとされた事例
明治4年に官有地、明治8年に民有地とされながら登記されなかった土地について、昭和30年から専有を続けて時効取得したという原告が、国に対して所有権確認を求めたというのである。
しかし、国は民有地になったことを自認していて所有権を主張するつもりもない。
また原告が自己名義に所有権保存登記をすることも、確認判決を得なくてもできる。
かくして、確認の利益はないというわけである。
なんだか実質的な争点を見つけるのが難しい事案だが、少し作り替えて試験問題とするのに良いかもしれない。例えば登記官吏が国の所有権を主張して登記手続を拒否したとか、事案を足して。
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コメント
こんにちは。ちょっと面白い判決だと思って、以下のようなツイートをしていましたが、如何でしょう?「持ち主不明の土地を長年占有して、私有化したことに関連する裁判の判例。裁判所が弁護士を「ちゃんと手続きしなさいよ」と咎めているようだけど、いまどき珍しい手続きだろうから、うまくできなかったとしてもまあ仕方がないかな。実質勝訴だろうしね。」
#ところで今日の国歌斉唱起立命令に関する最高裁判決で、宮川光治裁判官が反対意見を出したためか、「宮川光治」で検索して私のサイトを見に来る人が増えました(汗)。例の日航機ニアミス事件のページです。
投稿: 峰村健司 | 2011/06/06 21:56
登記手続でやってね、ということは、司法書士さんに相談したら、ということかもしれませんね。
投稿: 町村 | 2011/06/07 08:41
なるほど登記手続は司法書士さんでしたか。それにしても、なぜにこのような提訴をするに至ったのかが、素人的には不思議に思われます。
#以前に教えて頂いて以来、東京地裁ロビーの、旧庁舎から受け継いだというシャンデリアをいつも見上げています。点灯したのはまだ見たことがありませんが… お教え頂きましてありがとうございました。
投稿: 峰村健司 | 2011/06/08 12:22