news:東電も政府が倒産処理をしようとするから無理が生じる
ニュースによれば、東証社長とかが枝野官房長官の金融機関が債権放棄すべきだと述べたことについて「統制国家ではないのだから」と批判したそうだ。
ある意味当然ではあるが、その前には当の金融機関の社長か誰かが、民間同士の取引に国が口をだすのはおかしいと反発してみせたそうだ。
多分、枝野長官からすれば、「一体誰のためにこんな苦労をしてやっているのか、恩知らずも甚だしい」という思いでいるだろう。東京電力が経営破綻に至れば、社債権者は担保権があるからよいとしても、無担保で貸した一般債権者の金融機関は一挙に巨額の不良債権持ちに転落する。これを一生懸命防いでやっているのに、何だその言い草は、というところだ。
しかし、結局のところ、債務を正常に返すことができない状態にあり、もうすぐ資金ショートするかもしれないなどと社長が公開の場で堂々と発言する会社なのである。そんな会社を無理矢理救済してやろうとするから、こんなことになるのだ。
支払停止間近な状態なら、もう民事再生でも会社更生でも開始の要件は十分満たしている。
会社更生法17条
株式会社は、当該株式会社に更生手続開始の原因となる事実(次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する事実をいう。)があるときは、当該株式会社について更生手続開始の申立てをすることができる。
一 破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合(2号以下略)
これを税金で救ってやろうとしているのに、つまりその債権者たちも救ってやろうとしているのに、民民の関係に政府が口を出すなというのが金融機関の社長連中の言だ。ならば、もう結構、民民で勝手にやれば良い。
多額の賠償債務と借金に支払不能となれば、会社更生で100%減資。電力事業自体はやめるわけにはいかないから、新たな出資者に営業譲渡する。そして当然ながら債権はほとんどカットだ。担保権付き債権だって無傷では済まない。
そしてそれが本来の姿なのである。倒産処理ということは、債権放棄は当然の結果となる。
そうなったときには賠償責任も果たせませんが、というのが懸念か? もちろん、賠償責任は国の支援のもとで、原賠法が定めている保険の運用により支払うこととなる。保険料は今回の事故を勘案して相当の金額に引き上げ、長期にわたって原子力発電所を保有する会社から徴収すればよい。もちろんその負担は電力料金に跳ね返る。
しかしやむを得ないであろう。原子力発電所というのは、そのように高くつく存在であることが判明してしまったのだから。安い電力といっていたのが見込み違いだったに過ぎない。
枝野長官(というか政府)のすべての間違いは、政府主導での倒産処理をやろうとしたところだ。公正な処理のためには、やはり法的倒産処理を利用しないとならない。弁護士ならわかりそうなものだが。
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コメント
債権放棄というやり方だと、税法上必要経費にならない。またクレジットデフォルトスワップ市場で東京電力なら何兆円の取引が行われているが、債権放棄だとデフォルトしたのかどうか、はっきりしなくなる。デフォルトなら何千億円もらえる人がいるのだから、そこらへん、明確にしてもらわないとね。
http://www.j-cds.com/jp/index.html
投稿: とおりすがり | 2011/05/20 01:26