SNSの身売り
マイスペースは、いち早く日本でも活動していたが、半年か1年くらい前に撤退という話を聞いた。本体も持たなかったようである。
しかし、SNSは色々な個人情報の宝庫だけに、某同窓会SNSのように反社会的勢力に買収されて好き勝手に情報を利用されたのではたまったものではない。
倒産処理の場合も大いに問題だが、資本移動に伴う経営権譲渡の場合も、利用者が極めて不安定な地位に置かれることは言うまでもない。
頭の体操として、個人情報保護法は行政規制だから私人に権利を付与しないということを前提にして、利用者が自分の情報を返せという権利はどこから出てくるだろうか?
プライバシー権の一内容として、自己情報の削除請求権を導き出せるというのであれば、その答えとなる。しかし以前、その趣旨のことを述べたときの反応は全くはかばかしくなかった。話す相手が個人情報活用事業者よりだったからかもしれないが、プライベートな情報では考えられても、必ずしも「人に知られたくない性質の情報」というわけではない性質の情報であれば、微妙なところだ。
江沢民講演会の参加者名簿を警察に渡すことが参加者に対するプライバシー侵害となるということを前提に考えても、その情報を現に保有している者に対する削除請求権までは出てこない。
売却したり、削除しないで廃棄したりして流出させれば、それはプライバシー侵害となりうるし、商売に活用しても同様と解する可能性があるが、コンプライアンス無視の企業にかかれば、賠償金の低廉なプライバシー侵害の可能性など、大した問題ではなくなるだろう。
ということで、誰かに譲渡されてしまって困るような情報をSNSに蓄積するのは、ある日とんでもない企業がオーナーになるとも限らないのだから、やめておいた方が身のためという気がするのだが、そんなこと言ってたらソーシャルメディアは使えないということになってしまって、面白くない。
他人の情報を預かる者の法定義務として、当該情報の管理義務と情報主体に対する誠実対応義務を定めておく必要がある。
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コメント
最判H15/9/12で「プライバシーに係る情報」に該当するならば
仮地位仮処分で削除請求権いけませんかねぇ?
身売りをする場面、組織再編の場面一般では
保全の必要性ありとして
行ってしまってもよい気がしますけどね。
最判の言う「人格権」侵害の定義を狭く考えれば
保全の必要性も認めにくくなってしまうのかもしれませんが...
投稿: 故元助手A.T. | 2011/01/15 20:27
アンケートなどの応募する場合、身分証明書提示を求められる場合を除き、氏名を初めとして、そのとき思いついたでまかせを記入する事にしています。公安にその事を知られると私文書偽造などで逮捕され、調書を偽造されて有罪にされるかもしれませんが、ネットでのアンケートなどではそこまで警察も監視していないでしょう。
っして、身分証明書提示を求められた場合には、そうすることが本当に自分に役立つかどうかを判断して、真実を書くかどうか決めるようにしています。
こうすると仮に記録が他人に悪用されても実害をこうむることはありません。
投稿: 信義誠実 | 2011/01/17 12:39