Wikileaks関連で知ったオーストラリアのブラックリスト
Wikileaksの関連ニュースで、下記のようなものがある。
オーストラリア連邦通信メディア庁(Australian Communications and Media Authority:ACMA)によると、内部告発情報の公開サイトであるWikiLeaksは現在、オーストラリア国内の閲覧禁止ウェブサイトのブラックリストに登録されていないという。ACMAは2009年3月、WikiLeaksの一部のページが、デンマークのブラックリストに掲載されているウェブサイトにリンクされているとして、当該ページを閲覧禁止サイトのブラックリストに載せた。
しかし、ACMAは米国時間11月29日、WikiLeaksが現在、そのブラックリストから外されていることを明らかにした。
ちょっと長いが全文引用してしまった。
上記の記事によれば、オーストラリア国内での閲覧禁止ウェブサイトのブラックリストというのがまずあるということで、これは上記記事でもリンクされているBanned hyperlinks could cost you $11,000 a dayというシドニーモーニングヘラルドの記事によれば、なかなか面白い効果を伴っている。
すなわち、ブラックリストに搭載されたサイトへのリンクを設定した人々は、一日当り11000豪ドルの罰金を科されるというのだ。日本円で約100万円だと考えると、途方も無い金額だ。
そして、この記事では、wikileaksがブラックリストに載せられたということなので、wikileaksへのリンクを設定したオーストラリア国内の人々は、膨大な罰金を科されるおそれが生じたということだ。
しかし、上記のCNET Japanの記事では、そのブラックリストからWikileaksが外れたということである。それがなぜかはよく分からないが、審査した結果問題なしとなったという。
ちなみに、シドニーモーニングヘラルドの上記記事には、オーストラリア通信庁のブラックリストに載ったからといってオーストラリア人が当該サイトにアクセスすること自体の妨げとはならず、大したインパクトはないのだとも書かれている。それはそうかもしれない。ただし、ブラックリストに載ったサイトであることをもって、通信事業者がフィルタリングの対象とするのであれば話は別で、特に政府がフィルタリング対象とすることを強制すればもちろんのこと、強制しなくとも、事実上の強制は可能で、しかも違法なサイトの検閲・追放を認めれば、それはやがて違法でないサイトの検閲・追放にも簡単につながっていくだろうというわけである。
ひるがえって日本の状況を考えると、相も変わらぬ「お上性善説」というか、政府の機密は無条件で守られるべきで、それを漏らすのは問答無用でケシカラン、例え実質秘ではなくてもケシカラン、お上の言う事に逆らうこと自体ケシカランという発想で満ち満ちている。
フィルタリングも、形式的に政府から切り離したトンネル組織を作って、そこに内容的な検閲機能を持たせれば、それで合憲ということになる。例え、政府の意向が陰に陽にトンネル組織の意思決定に反映されても問題ないということになる。そんなコントロールが効かない存在は、問答無用で悪者である。
以下、脱線
そんな発想だから、自衛隊という武力を備えた組織に文民統制を効かせなければならないことは頭で分かっていても、暴力装置と言われただけで侮辱されたような気分になったりするし、その基本的な発想を活用して政局につなげようとする政治屋が活躍したりする。
ちなみにお上性善説を特に振り回す人たちは、民主党も嫌いというケースが多く、特に全共闘だの何だのの前歴をあげつらうことが大好きなのだが、お上性善説と当のお上が民主党政権であることを共存させているところを見ると、この人達の考える政府というのは政党政府ではなく、官僚政府なのだろうかと思う。
しかし、そのお上性善説に立つ多数の人々は、古くはノーパンしゃぶしゃぶ、近くは事業仕分けに象徴されるような、官僚バッシングにはことの外熱心なので、もう何を「お上」と信じているのかよく分からないのである。残されたお上は天皇ぐらいしか思いつかず、天皇のもとでの自衛隊とか、天皇の官僚とか、そういう存在が無条件信頼の対象なのであろうか。
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