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2010/12/31

poltique:民主党政権15ヶ月の成果

岡田克也幹事長が表題のようなエントリブログに発表している。

記者クラブで1時間発表した内容なのに、報道では小沢問題の質疑に集中していて、無視されてしまったということでブログに発表されたわけだが、上杉さんが聞いたら喜びそうなエピソードだ。

それはともかく、岡田氏は民主党15ヶ月にたくさんの成果を上げたのに、ネガティブな面ばかりが報じられているというので、彼のいう成果を改めて見てみよう。

cf.民主党政権15カ月の成果.pdf

政治主導に関して言えば、事務次官会議を廃止し、閣議などで閣僚を中心に議論をしながら物事を決める仕組みが見えてきました。
 確かに事務次官会議を通らないと法律案が出せないという官僚支配の典型のような仕組みはなくなった。しかし事務次官を頂点とする官僚組織の能力を十分引き出すことができないで政策が停滞し、結局事務次官ポストの廃止を行っていた仙谷長官が政務三役会議に事務次官などの陪席を認めるように方針転換した。  我々国民としては、大きく振幅する振り子に振り回され、目が回ったり、朝令暮改という単語が思い浮かんだりしているのではあるまいか。
政治主導という意味では、記者会見のオープン化も、私が外務大臣のときに進めたことを皮切りに、かなり進展してきました。
 しかしこれは、まず記者クラブ主催の記者会見では限界があるということが如実に示されているところだ。確かに岡田さんのところと、亀井さんのところと、原口さんのところと、いくつかラジカルな例は見られるが、前官房長官とか全く異なるご意見の持ち主もいた。そして相変わらずぶら下がりを中心とする首相会見にはオープンのかけらもないわけだが。  結局、この日本記者クラブ講演と同様に、記者クラブ構成会社の情報切り取りの範囲内で、マスコミ各社の解説付きでしか伝わらないのである。
経済・財政面では、例えば予算の再配分という意味で、公共事業予算を2010年度本予算で18%削減しました(11年度はさらに5%削減)。
 確かにその通りで、自民党政権のもとでは予算の省庁別シェアを大きく動かすことなど考えられなかった。しかし、一挙18%の公共事業予算減少が直撃した地方や企業のためのセーフティネットは会ったのかという問題と、止める止めるといいながら一向に止めないまま白紙で再検討と言い出した八ッ場ダムのように、一度走りだした公共事業を止めるのはやっぱり問題が多すぎるという現実に直面しているのではないか。  1年2年ではまだ最終評価を下すには早いかもしれない。が、八ッ場ダムの例を見ると、高く掲げた理想には甚大な副作用が伴い、いわば切り捨てるところを切り捨てる冷徹な面をもたないと実行は覚束無いことが明らかである。その冷徹さは、民主党政権にあるかどうか、極めて疑問である。
6月の新成長戦略の策定や、財政運営戦略の策定といったこともきちんと行い、日本を成長させていくなかで、財政の規律を取り戻していくという大筋について、6月の時点で政府としての方針を固めて明確にした
 財政規律を取り戻していくという方針はあっても、来年度予算の策定はそれを裏切るものだったと言わざるをえない。「明日やろうはバカヤロウ」という言葉をご存知か。  財政運営戦略の策定といってPDF資料には「基礎的財政収支の赤字を2015 年度までに半減し、20 年度までに黒字化、21 年度以降は債務残高を減少」とあるが、この手の「方針」は橋本内閣以来なんども聞かされたところで、実際にその方向に動いたのは小泉内閣のときだけである。それに民主党政権が2015年までの方針を掲げても、現状では虚しく響くが、それを別にしても2015年度まで4回の予算策定で44兆円の新規発行赤字国債を少しでも減らせる見込みがあるのであろうか?  もはや、増税と社会保障の負担減少しかないと思われるが、八方美人的な政策に終始する民主党政権にそれができるか?
子育て・教育の面では、子ども手当の創設については、いろいろな議論がありますが、子育てを社会全体で行うという意味で、非常に画期的な政策の大転換でした。
 確かに画期的なようにみえる。しかし最初から拭えない疑問。旧児童手当を拡充すればよかったんでないのかと。地方の負担が増えるとか新たなシステムコストがかかるとか、そういう無駄な議論を回避できたと思うのに。また公明党も喜んで、今となればねじれ解消につながったかもしれないのに。
高校授業料の無償化や母子加算(一人親世帯に対する生活保護の加算)の復活、父子家庭に対する児童扶養手当の創設など、本当に厳しい状況にある方々に対して、しっかりと手当をするという考え方が実現しました。
 これは評価できる点で、この部分までも含めてバラマキとの批判は当たらない。細かいところでは、公立と私立の格差とか、上記の子ども手当も含めて所得制限を一切否定するのは何故かとか、あしなが基金があらぬ誤解で苦境に立つとか、問題がないではないが。
10年ぶりに診療報酬を増やして、救急医療や産科、小児科や勤務医に厚く配分することにしました。
 これも評価できる点だが、その効果の程は見てみないとわからない。そして同様のことは、介護従事者不足の解消にも必要だと言われているわけだが、それも忘れないでいてくれとよいのだが。
求職者支援制度ですが、2010年度は暫定的に、来年度からは恒久化されますが、失業保険の適用のない方、特に自営業や失業給付が切れてしまった方々に対して、職業訓練を受けることを前提に、月額10万円の手当を行います。
 これも評価できる。問題は色々あるかもしれないが。例えば「職業訓練」が本当に有効な就職支援につながるかという問題とか、ハローワークのワンストップ・サービス化とか、地方移管とか。政治主導の真価が問われるのは、こういう所での実行力であって事務次官会議の有無ではないのである。
税金のムダ遣い根絶という意味では、行政刷新会議の設置や事業仕分けなど、言うまでもないことです。
 ここは言うまでもなく、成果につながっていない、無駄遣い根絶になっていない、仕分けられた事業が名前を変えて存続したりしている、上述の八ッ場ダムのようにやっぱり公共事業は止められない等々、問題山積のところだ。
外交面では、自画自賛になりますのであまり申し上げるつもりはありませんが、いわゆる密約問題の解明、外交文書公開に関する30年ルールを明確にしたことによって、昨日(23日)の新聞にもありましたが、沖縄返還に関する様々な外交資料の一部が公開されました。
 いやいや、もっと自画自賛をたくさんしないと、強調すべきところは強調しないと。その一方で尖閣諸島や北方領土の問題で失点を重ねているし、アメリカとの関係も鳩山首相時代におかしくなって菅首相が元に戻したと見られるが、トラスト・ミーという一言とその後の経過を見ると鳩山首相も自民党時代以上の対米従属だったのではないかとか、もう問題山積のところだ。  ちなみに尖閣諸島騒動の時のレアアース危機は、軍事や食料にとどまらない安全保障の重要性を再認識させてくれたという点で、評価できるかもしれない。
アフガニスタン支援や日韓併合100年に関する総理談話発出、EPAの推進――インド、ペルーと合意、韓国、EUとは再度交渉に入ることになった
 賛否両論ではあるが、実績はあると言ってもよい分野ではある。しかし今話題のTPPに触れられていないのは、まだ交渉に入ってもいないからかな。いずれにしても、国を開くという方針と食料安全保障の問題とは慎重に事を進めていってほしい。
農業についても、直接支払制度を導入し、EU型に大きく舵を切りました。また、地球温暖課対策税を導入しました。
 農業の戸別所得補償制度は、安心して営農できるようになるのか、それとも大規模化や高品質化で国際競争力をつけるインセンティブをむしろ阻害する方向に働くのか、疑問がある。環境も、確かにダメだダメだという報道ばかり見せつけられているのだが、例によって25%削減という絵に書いた餅のような目標に向かうロードマップはないではないかと。排出権取引制度化も諦めたのではなかったか。環境税も、ガソリン等の臨時課税を環境税に転換するのは「看板の付け替えだから」という理由で進まないし、高速道路の無料化などかえって環境悪化を促進するような政策も残しているし。

そういうわけで、岡田幹事長が胸を張って発表した成果には、確かに評価すべき点があることはあるのだが、羊頭狗肉なものや評価が早計なもの、むしろ腰砕けになっているものなどがたくさん含まれている。
そして「成果」になっていないから触れられていない問題、例えば選択的夫婦別姓制度化とか取り調べ過程の可視化による冤罪防止とか、重要な問題が残されている。

ところで、消費者行政については民主党も熱心だったはずだが、消費者庁の発足と民主党政権の発足はほとんど同時であり、消費者委員会という民主党の肝いりで作られた組織も15ヶ月たっている。この部分の「成果」も示されて良いように思うのだが、PDF資料にも「消費者」という言葉はたったヒトコトも含まれていない。
岡田克也幹事長が消費者行政に全く関心がないということなのであろうか?

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