Franceの裁判所統廃合
Dati前法務大臣が決めたフランスの裁判所統廃合が、最終段階を迎え、今年末で17の大審裁判所(地裁に相当)が閉鎖されることとなった。
この統廃合が始まった2007年には、もちろん司法官の組合が大反対をして抗議したが、国家予算の窮乏には逆らえなかったようである。
2008年には書記官と労働審判所が削減され、2009年には商事裁判所が減らされ、そして今回の17の大審裁判所の削減で完了した。
これによる予算削減は2150万ユーロに上るという。
組合と弁護士会は、それぞれコンセイユ・デタ(最高行政裁判所)に取消を求めて提訴したが、Moulinの大審裁判所だけは廃止を免れたが、他はすべて退けられた。
今、最後の頼みはヨーロッパ人権裁判所への提訴だという。請求の理由は裁判への実効的なアクセスが損なわれるというもの。なかなか興味深い展開だが、さてどうなることだろうか?
そういえば、かつて簡易裁判所や地裁支部の統廃合が行われたときに、取消訴訟を提起して、法律上の争訟に当たらないという理由で却下されたことが日本でもあった。
その判決をネットで探していたら、憲法の無効確認訴訟を提起して却下された判決が出てきた。トンデモ訴訟に丁寧につき合う裁判所の苦労を思う。
ともかく、フランスの裁判所数は、来年1月1日から819カ所となり、2007年段階から400弱も減少した。なんと3分の2に統廃合されてしまったのである。
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コメント
国が違うので比較しても深い意味はないですが、そもそも裁判所の数がえらく多いですね。減っても地裁(Tribunal de grande instance)が164もあるようで…
裁判所のこと、一般的には tribunalって言うんですね。palais de justiceだとばかり思っていました。
投稿: 峰村健司 | 2010/12/31 21:18
palais de justiceは建物を言います。英語ではTribunalというと裁判外の紛争処理機関を指すので、誠に紛らわしいです。
投稿: 町村 | 2011/01/01 00:06