Book:五十嵐清・比較法ハンドブック
民法・比較法の五十嵐清先生が、60年にわたる比較法研究の集大成としてまとめられた書籍である。
といっても大部のものではなく、帯に「バランスのとれた標準テキスト」とあるように400頁弱にまとめられたコンパクトなものである。
ハンドブックという書名からは逆に軽い案内本を思い起こさせるが、さにあらず、イギリスで発行された標準的比較法テキストの書名にならったということである。イギリスのOxford Handbookは1400頁ものだが、A Handbookと略されるComparative Law: A Handbookは400頁程度で、本書はこれと大差のない水準のものとされている。
なお、イスラム法なども含めた百科事典的な書物ではない。あくまで五十嵐先生の比較法の大系がアップデートされてまとめられたと位置づけられるものだ。
個人的には、中身をちょっと読んだだけで大学院入学前後の勉強が思い起こされ、20代半ばにタイムスリップすることができる書物だ。そして25年前に学んだことを、今にアップデートすることができる書物でもある。
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コメント
スピンオフな感じで論文はいくつか出ていましたが
ついに公刊したんですか。さすがです。
この前はLLSVのlegal origin theoryの論文を書かれてましたし
私も80を超えても著作活動を続けられるような研究者になりたいです。
五十嵐先生はOxfordのHandbookの成果が
十分に日本で消化されていないことを嘆いていらっしゃったような気がするのですが
あの本はかなりの人数による共著なのに
先生は一人で書くんですからすごいというよりもはや怖いですね。
投稿: 故元助手A.T. | 2010/12/24 08:02
12/25AM1:30現在、すでにAmazon在庫切れ
投稿: 603 | 2010/12/25 01:37