moj:これがこの国の法務大臣
記念すべき発言だと思うので、東京新聞サイトから全文引用しよう。
法相はいいですね。(国会答弁では)二つ覚えておけばいいんですから。「個別の事案についてはお答えを差し控えます」。これはいい文句ですよ。これがいいんです。分からなかったらこれを言う。だいぶ(この答弁で)切り抜けてまいりましたけど、実際の話、しゃべれない。あとは「法と証拠に基づいて適切にやっております」。まあ何回使ったことか。使うたびに野党からは攻められる。「政治家としての答えじゃないじゃないか」とさんざん怒られている。ただ法相が法を犯してしゃべることはできないという当たり前の話です。「法を守って私は答弁しています」と言ったら「そんな答弁はけしからん。政治家だからもっとしゃべれ」と言われる。そうは言ってもしゃべれないものはしゃべれない。
分からなかったらとりあえず「個別の事案についてはお答えを差し控えます」ということだという。
逆に言うと、いかにこの柳田氏に分からない問題が多かったかということだ。
「法と証拠に基づいて適切にやっております」というのは当たり前だから、何回も使うというのだが、当たり前のことは言っても言わなくても同じことなので、つまり何も言っていないのと同じである。
上記の「お答えを差し控えます」も何も言わないことであるから、要するにこの法務大臣には、自己の見識を持って答えられることはほとんどなかったと、このナンとかの二つ覚えで国会を切り抜けられるのだから法相は「いいですね」(=楽な商売)と、こういうわけである。
そういえば前の法務大臣についても、情けないことに法律問題について責任を持って答えられる人という扱いはされていなかった。
内閣法制局長官は役人だからという理由で答弁を禁止され、閣内に誰も責任を持って憲法判断・法律判断を答えられる人がいなくなり、その後、弁護士である枝野氏が入閣したときには今後枝野氏が責任を持って法律問題を答えることになると言われたことがあった。法相というのは実は空席なのかと思うしかない話であった。
法務大臣といえば、ヨーロッパ諸国では閣内ナンバーツーとか、伝統的に君主に最も近い大臣であって首相よりも権威がある存在とも目される。
しかし日本では、もちろん三権分立のあり方がヨーロッパ諸国とは異なるので同列には論じられないにしても、軽いポストと扱われていることは嘆かわしい限りである。
江藤新平が司法卿として薩長の政府高官の汚職を徹底追及し、その結果が佐賀の乱で殺され晒されるということになったわけだが、その時のトラウマが、今日に至るまで司法大臣・法務大臣を権威のない存在にしているのであろうか。
それにしても「個別の事案についてはお答えを差し控えます」と「法と証拠に基づいて適切にやっております」の二つで切り抜けたなどと語る人物を法務大臣にしている状態は、一刻も早く解消してもらいたい。
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コメント
官僚の国会答弁の常套句シリーズもありますね。元大蔵官僚である野口悠紀雄さんが本に書いてました。官僚を辞めてから言ったから、問題なかったのですが、現役時代に言ったら、仕事にさしつかえたと思います。
投稿: inoue04 | 2010/11/17 19:00