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2010/11/12

consumer:消費者の集団的被害回復訴訟・4つの試案

消費者庁の集団的消費者被害救済制度研究会がまとめたA案からD案まで、過日の消費者法学会で検討する機会があった。

その際作成した進行図をアップしておく。
元の報告書はPDFで公表されているが、そこでは民事訴訟に限らず、行政処分による不当収益の剥奪と倒産処理手続をベースにした財産保全なども検討されているが、ここでは民事訴訟を通じた集団的被害回復訴訟についてである。

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このA案は、いわゆる二段階型の一つで、被害を受けた消費者の一人ないし複数が自らの被害救済を求めて提訴し、中間判決において事業者の責任を認めた判断が下されたら、その後に他の消費者が参加ないし追加的選定をすることで自らの被害の回復も求めるというものである。

中間判決には上訴を認めて、その判断はその時点で確定するという点に特徴があり、また基本的にオプトイン型の手続でもあるので被害回復を積極的に望む消費者以外には効力が及ばないが、中間判決で責任を認めた判断は、第二段階で参加・追加選定をした消費者に及ぶ。この点で、単なるオプトインとは異なる特徴を有する。

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B案は、カナダのコモンロー諸州で採用されているもので、やはり二段階型である。
A案と違うのは、第一段階訴訟の結果が原則として同種の被害を受けた消費者に有利にも不利にもおよび、その段階で除外を申し出ることができるというものである。その意味で、オプトアウト型にも属する。


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C案は、いわゆるクラスアクションに近く、オプトアウト型であり、かつ終局判決において被害を受けた消費者で除外申請をしなかった者全体についての被害総額支払いを命じるというものである。
この案では、終局判決が提訴当事者以外の消費者に有利にも不利にも及ぶという点と、総額判決の可能性、そしてその分配手続に問題が残されている。


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D案は、いわゆるオプトイン型であり、選定当事者制度の応用である。

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