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2010/09/26

Google会長のE.Schmidt、フランスで敗訴判決

フランスのパリ大審裁判所(地裁に相当)は、2010年9月8日判決付で、グーグルのEric Schmidt会長とグーグル社、グーグル・フランスに対し、グーグルの検索において示されるお勧めワードが名誉毀損に当たるとして、以下のお勧め語の削除とアストラント(間接強制)1日500ユーロ、そして不当応訴による損害賠償5000ユーロの支払いを命じた。

“M. X... viol”, X氏 強姦
“M. X... condamné”, X氏 有罪
“M. X... sataniste”, X氏 悪魔崇拝者
“M. X... prison”, X氏 牢屋
“M. X... violeur”, X氏 ドロボー

この判決文は、Legalis.netの頁で読める。

グーグルのお勧め機能は、フランスでは2008年9月から始まっていたが、これまでも法的なトラブルとなってきている。
例えば、2009年末には、パリ控訴院で、Direct Énergieにペテン師とつく候補の提示を削除せよとの判決が出されている。→Legalis.netによるパリ控訴院判決2009年12月9日紹介

本件の原告Xは、2008年11月3日のパリ軽罪裁判所判決で執行猶予付き懲役を宣告され、2010年2月5日にはパリ控訴院で同様の判決が出されている。その結果として、上記のような検索お勧めがついたものと見られる。

これについてグーグル側は、意図的な表現ではなくアルゴリズムの結果に過ぎない、ネットユーザーの検索頻度に応じたものに過ぎない、などと主張した。
しかし、パリ大審裁判所は検索のお勧めがつくことで特定の検索が志向され手名誉侵害につながっていることや、既に上記の先例があって検索お勧めのキーワード選択には人の手が加えられうること、それだけでなくポルノや暴力についての検索除外をグーグル自らポリシーとしていることなどの理由から、検索お勧めの提示についてグーグルが名誉毀損の責任を負うとした。

日本では、おりしも無罪判決がくだされた後に訴追のニュースをブログに書いた時の責任が争われたりしている(→9/19エントリ参照)が、名誉毀損被害者のために検索除外(グーグル八分)を取り入れるように主張されたりしてきた。
グーグルのおすすめ機能について、フランスの裁判所が上記のような判断を下していること、そしてそれが執行もされていることは、日本においても参考になるであろう。

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コメント

グーグル主張の内、
「意図的な表現ではなくアルゴリズムの結果に過ぎない」
は、多分、そうなんでしょうね。
日本版だけのバグかも知れませんが、「axax」と入力すると
とんでもない「お勧めワード」が出るのは有名ですし。

しかし、不当な表示をされる個人としては、怒る気持ちも
分かります。一方、そこまで、グーグルが重要なインフラに
なった事は、怖いですが。

投稿: はる | 2010/09/27 14:19

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Is this possible?

投稿: baluev | 2010/10/03 04:23

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