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2010/09/30

検察取調べのリークとdeja-vueに思う報道の自由の価値

割り屋と呼ばれた前田検事が、最高検の取り調べで"割られて"いる様子が次々報道されている。

毎日jp:特捜証拠改ざん:前田容疑者「故意」認める

前田恒彦容疑者(43)が、最高検の調べに対し、証拠品のフロッピーディスク(FD)のデータを「故意に書き換えた」と容疑を認める供述をしていることが関係者の話で分かった。

朝日.com:検事「上司の決裁通らないのが怖かった」 改ざん疑惑

最高検の調べによると、理由は「(上級庁などの)決裁が通らないのが怖かった」。昨年7月中旬の改ざん直後には、同僚検事に「意図的に書き換えた」と打ち明けていたことも供述。最高検は証拠を隠滅した動機の解明を進めている。

この報道の内容には、市民として大変興味があるのだが、密行性があるとされている検察庁の取り調べ経過が、あたかもリアルタイムで明らかになってくる現状には、さすがに違和感を禁じ得ない。

どこかで見たことがあると思ったら、当の前田検事の手によって村木厚子氏が逮捕された前後に、部下の上村勉氏が次々と供述を引き出された時の情景とそっくりなのである。

現在判決などで判明しているところによれば、上村氏は、個人的に偽造を行ったし、検察庁の取り調べにそのように言ったにも関わらず、上司からの指示があったのだろうという決めつけで供述調書を作成され、「もうどうでもいいや」という心理状態に追い込まれてサインをした。
その結果、指示したとされる村木厚子氏が逮捕され、働き盛りの人生を1年半無駄にされたことは周知のことである。
そして、中央省庁の悪事露見と色めきだって「調査報道」の成果のような顔をして検察の見立てを垂れ流し報道していたのが、朝日新聞を代表とするマスゴミ、もといマスコミである。→media:朝日新聞は郵便不正事件摘発のきっかけ、検察の捜査も調査報道でスクープと自慢

さて、因果はめぐって前田検事が取り調べの対象となり、上記のような報道が積み重ねられている。
普段だったら、犯罪憎し、犯人憎しの感情もあって、本来高い機密性があるはずの捜査の過程がぼろぼろと明らかになることの奇妙さには目をつぶって、報道を事実として受け入れてしまうのだが、そして後に無実が明らかになったときになって、マスコミの尻馬に乗ったことを棚に上げて報道被害がひどいという世論がわき上がるのだが、さすがに忘れっぽい我々も、同じ事件で同じリーク垂れ流しが繰り返されるということに注目せざるを得ない。

ここでリークと決めつけているが、取材源の秘匿はもちろん報道の自由と知る権利を守る重要な手段であり、通常であれば最大限尊重すべきだ。従って一概にリークといっても、意図的情報操作的情報漏えいなのか、調査報道の成果なのかはよく分からないし、取材過程を透明化しろとはいいにくい。
しかし、取材源の秘匿は、報道機関に対する信頼が存在しているために、取材過程の適正さを白紙委任するということを意味している。
後で無実と判明した人に罪をかぶせるような供述を垂れ流したマスコミに、取材源の秘匿を認める前提の信頼は失われつつある。
取材源の秘匿は、権力に対抗する報道をする自由を確保するため、特に必要だとされている。そのことには全く異論がないのだが、権力側のリークを垂れ流す報道機関(これはマスゴミと呼ぶべきだが)に対して取材源の秘匿を認める必要はどこにあるのだろうか?

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コメント

「リークは『故意ではなく過失』なの(はぁと」という……。

投稿: キメイラ | 2010/10/02 16:05

村木「被告」はけしからん、と言われていたが実際には完全に無実だった。
続いて前田「被告」はけしからん、とまたリーク情報(?)により判断しようとするマスコミ、そして一般国民。

これは筋が通っているのでしょうか。

投稿: passenger | 2010/10/02 16:38

村木さんが指示したとする日以前に偽造証明書が作成されていたことを知っていたことは、リークに基づく情報ではなく、本人も周囲も認めている事実なので、怪しからんという評価は可能だろうと思います。

その上で、最高検の取り調べストーリーに踊らされている点は、ああまた同じ事やっていると思いますが。

投稿: 町村 | 2010/10/02 23:07

 M検事が地検高検最高検の決裁で騙したのは,決裁のハンコの印映を騙し取る詐欺罪というのは無理だろうか?

投稿: キメイラ | 2010/10/07 11:03

今や財産的価値も低下しまくりですね、決済ハンコ

投稿: 町村 | 2010/10/07 17:00

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