« Twitterと空き巣 | トップページ | 平成22年新司法試験合格発表・追記 »

2010/09/08

arret:鈴木宗男受託収賄事件最高裁決定

最決平成22年9月7日PDF決定全文

本日報道されているので、てっきり今日の決定かと思ったが、昨日付であった。
弁護人は、村木厚子さんの事件でも弁護人を務める弘中先生。

(表題間違いに付き、再掲)

鈴木宗男の収監には全く同情を覚えないし、痴漢から汚職大臣までもが主張する陰謀論には与しないので、正当な手続をもって確定された事実を前提にする。

この決定文を読んで興味深いのは、弁護人側の言い分で、官製談合行為を主導したからといって、それは違法行為なのだから職務関連行為とはいえないという部分だ。

「談合にかかわる行為は正当な職務としておよそ行い得ない違法な類型の行為であるから,職務に密接な関係のある行為とはなり得ない旨主張する」

つまり、鈴木宗男がやったと認定されている行為は、なんとかウチに受注させてくださいと賄賂付き依頼を受けて、予算大枠を決めるときに官製談合で発注先を決めてしまえと役人に指示したということなのである。
単なる受託収賄でなくて、加重収賄には当たらないのであろうか?
刑法

(加重収賄及び事後収賄)
第197条の3  公務員が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期懲役に処する。

197条の法定刑は7年以下の有期懲役に対し、197条の3は1年以上の有期懲役だから、なんだか197条の方が重いようにも見えるかもしれないが、197条は1月以上7年以下であるのに対して、197条の3は1年以上20年以下なので、当然ながら加重収賄の方が重い。

違法なことをさせたのだから職務関連行為でないというのは、あまりに筋の悪い主張ではないか。

いずれにしても、北海道開発庁とか北海道開発局というのが官製談合当たり前の世界であったということを図らずも明るみに出した事件だ。
この官庁、廃止が俎上に上っている。

|

« Twitterと空き巣 | トップページ | 平成22年新司法試験合格発表・追記 »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

この事例とは直接関係がないのですが、そろそろ政治家の絡む収賄罪を客観的要件だけで構成するようにしたほうが良いように感じます。献金として衣替えした賄賂が相当数存在していると思われるので。

投稿: こう | 2010/09/08 20:24

大学生の知的水準が昔の中学生並みになっていると言う定説が巷間ささやかれているが、大学教授の品質下落も十二分に証明されているようだ。君の、鈴木氏への貧しくも尊大な作文を読むと、改めて、そう思わざるを得ない。本来、この国の司法権力のやくざもびっくりの暴走に警告を発し、「良識」という軌道に引き戻すための忠告役が「知性」に課せられた役割であったはずなのに、自らそれを放棄したのみでなく、佐藤優氏への薄汚くも聞くに堪えない罵りを唾を吐くように吐く。大衆は、どちらの見解が「真実に近いか?」ぐらい正確に見極めるだけの眼力は備えているよ、町村君。

投稿: 通りすがりx | 2010/09/08 21:54

こうさん、普段から献金していれば要求してもお咎めなし、特定事項に限って金を払って要求すれば賄賂ですから。おっしゃる通りと思います。

投稿: 町村 | 2010/09/08 22:16

こうさんに賛成です。
メディアに毒され真実を見抜くことを放棄しているように思います。

投稿: えむ | 2010/09/09 04:49

たしかに一見すると筋の悪い主張ですが、上告趣意書には「かりに上告人が談合に関わっていたとしても・・原判決はおかしい」という但し書きつきでなされた主張なのだと思います。
弁護人は原判決を破棄するために考え得るあらゆる上告理由を列挙しなければならないわけで、その中に上告人本人の主張と必ずしも合致しない上告理由が含まれることはままあることだと思います。

投稿: あほ | 2010/09/09 10:41

仮定的主張だということを批判しているわけではないのですが。

投稿: 町村 | 2010/09/10 09:56

通りすがりさん、役人を恫喝する鈴木さんを擁護しているのですか?

投稿: 大衆です | 2010/09/13 00:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: arret:鈴木宗男受託収賄事件最高裁決定:

» Twitter Trackbacks []
[続きを読む]

受信: 2010/09/08 19:25

« Twitterと空き巣 | トップページ | 平成22年新司法試験合格発表・追記 »