LS:適性試験成績に最低基準点
ロースクール入試の共通テストとして行われている適性試験は、大学入試センターが今年度まで実施して来年度からは撤退し、来年度からは日弁連法務研究財団の実施のみとなる。
その成績に最低基準点を設けて、その基準点以下の得点の者は出願できないようにしたいというのが文科省サイドの意向だが、その判定をするかどうかを決めるのは法科大学院であって、試験実施団体ではない。
ところで京都産業大学は、以下のような発表をして、今年度からの最低基準点制度を導入した。
2011年入学試験における適性試験出願資格点の公開について
本年度より未修者・既修者とも、大学入試センターまたは 日弁連法務研究財団が実施した平成22年度の法科大学院適性試験の得点が全国平均の80%以上である者を出願資格としています。
(中略)
本年度の出願資格点の基準となるのは、大学入試センターが実施した適性試験の平均点の80%である43.1点です。
従前、文科省サイドが想定していたのは全受験生の下位15%を上回ることということだったので、比較ができないのだが、JLFの今年のデータでは、下から15%(=上から85%)のところの成績が130点程度であり、京都産業大学の最低基準点は140点となっている。つまり文科省サイドの想定基準より550番ほど上位のところに、最低基準点を置いたことになる。
他の法科大学院もこうした最低基準点を導入しているのかどうか、調べている時間もないので分からないが、適切な方向かどうかは大いに疑問だ。適性試験は勉学能力を測る一つの尺度に過ぎず、唯一の尺度とはなり得ないということは当の試験実施団体も認めていることだからである。
もちろん、適性試験は、法律を勉強した人と勉強してこなかった人とを共通の尺度で公平に、その勉学能力を測る方法としては妥当なやり方だが、それが直ちに法律の勉学能力を正確に測るものにはなっていないことも、また事実だ。
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