Franceの占有訴権
フランス民訴研究会は、いわば第二読会の段階となっているが、昨日は私の担当した「占有訴権」の部分を検討した。
日本の占有訴権と似ている、しかし違うところもあって、色々興味深い。
占有保全・保持・回収という三類型にぴったり当てはめられないものの、一応は三類型があるのも面白い。
また、占有妨害を排除する請求権に1年前からの占有継続という要件が課されているのも、わが国とは違う。ただし、voie de faitによる妨害については1年前からという必要が無くなる。
このvoie de faitというのは暴力行為と訳されることが非常に多いのだが、肉体的な攻撃を加えたり脅迫したりという行為ではなく、通路にバリケードを設置したりといったレベルの有形力の行使も含まれる。
結局、翻訳としては多くの文献で採用されている言葉を使うものの、注で意味内容を説明することとした。
このほか、差別に関する団体訴権の創設規定の部分では、これが訴訟担当という概念をフランスに持ち込むものなのかどうか、議論の尽きないところであった。
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