univ:他山の石=募集停止学部の教員を解雇する方法
縁起でもないことだが、他山の石として注目せざるを得ない。
asahi.com:募集停止学部の専任教員21人、全員解雇へ 千里金蘭大
千里金蘭大学というのは初めて聞くが、吹田市の4学部もある大学である。ただし、大学の設置は2003年と、いわゆる新設校だ。現代社会学部は、人間社会学部の学生募集停止と同年度に設置されていて、教員は全員同じなので、要するに後継学部であった。つまり、実質的には3学部である。
今回の募集停止と解雇は、人間社会学部=現代社会学部について起こった。
2008年度に募集停止となり、今年が2010年度だから、まだ4年3年が在籍している。
この段階で、法人は次のような措置をとった。
同大学関係者によると、6月29日の全学経営説明会で、法人事務局長が「2学部の専任教員21人全員から希望退職を募った。応じない場合は11年3月末をもって解雇する」と説明した。希望退職の締め切りは7月20日で、約半数が希望したという。
希望退職か解雇かという選択肢を突きつけているのであるから、全然「希望」退職ではないではないかと思うし、一部の教員は退職の強要があったとして地位保全の仮処分を申し立てるとのことである。
なお、在籍学生がいる段階で専任教員が全員解雇されれば、その学生の指導教育体制はなくなるので、大学設置基準にも違反することとなる。
定員割れが続いて学部を維持できないから閉じるという大学経営側の意向は理解できるが、それでもこのやり方は無理筋ではないか。大学たるもの、顧問弁護士の一人や二人はいて当然だと思うが、その人たちは何をしているのだろう。何か言っても聞く耳を持たないのであろうか?
いずれにしても、ロースクールの近未来を思い、暗い気分である。
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コメント
倒産大学における在籍学生は、近隣大学への転学を世話するので問題ないという説明が、以前、文部科学省からありました。
投稿: 井上 晃宏 | 2010/07/27 22:04
「他山の石」?
→自分の知徳を磨く助けとすることができる...
法科大学院募集停止に備えてということでしょうか。
こわすぎです、未来の幹部殿。
ただ、ローの場合は、基幹科目では
優秀な先生からロー専任にしてるとこが多いので
廃止してもロー専任の先生ではなく
私のように学部に残っている駄目な先生を解雇したいのではないでしょうか(笑)
となると、さらに解雇が難しい...
投稿: 故元助手A.T.@実は研究者教員の枠は増えていないんですよね... | 2010/07/28 10:38
まあ今の学校は流石に問題ないと思いますが、苦労しそうなポジションにいる友人知人や、定年後の自分を思い浮かべると、他人事ではないです。
ただ、大学教員が一般企業の従業員より解雇しにくいということは法的にはないはずで、奇妙な過信がこのエントリのようなニュースをひときわ目立たせているようです。
なんだかよくわからないコメントになっちゃいましたが…
投稿: 町村 | 2010/07/29 10:06
>井上 晃宏 さん
でも、千里金蘭大学は倒産してませんよね。
投稿: エディ | 2010/07/30 19:32
新聞報道を前提に議論しても、それが正確でなければ意味がない。人間社会学部と現代社会学部の専任教員は実際は区別されず、希望退職の退職時期が来年3月末で、人間社会学部の学生がいなくなり、残りの学生に対して講座もない教員に1年分の割増退職金を加算し、再雇用の支援も行うなど顧問弁護士だけではなく、文部科学省、労働基準局とも検討しながらすすめていることも、面白く報道するために、なにがあろうとも解雇=不当と主張する一部の教員の意見で記事にする姿勢が疑問だ。しかし、多くの人はそんなはずはないと考えている。だから、報道は続かない。
投稿: ロケッツ | 2010/08/02 22:29
ロースクールの先生方は、弁護士達に『既得権益許さん!合格者増員で競争すべきだ』って絶叫していますよね
いよいよ、大学・ロースクールにも、みなさんの好きな、過当競争がやってきますよ☆
投稿: prio | 2010/08/05 23:21