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2010/07/05

jugement:美術鑑定書に絵画の縮小コピーを付けるのは著作権侵害

東京地判平成22年5月19日(判決全文PDF)

本日の日経新聞朝刊に、三宅さんが詳しい解説記事を載せていた。

その中には、下記のようなコメントも載っている。
Comment

素晴らしい時代となったもので、新聞記事の切り抜きも実に楽になった。

それはともかく、この判決で認められた賠償金額は6万円。差し止めは原告が求めていないからか、認容されていない。
この結果だけから考えてみるなら、結果は妥当かなという感じもする。
著作権法は、複製権を著作権者の許諾にのみかからしめていて、許諾がなければ例外規定に引っかけざるを得ないのだが、民法の相隣関係にある以下のような規定を土台として、著作権法にも償金付き法定許諾のような制度を導入するべきだと考える。

民法第二百九条  土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2  前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。

現行の著作権法には、そのような法定の利用権規定が不足しているので、特にこの事件のように利用を求める側と著作権者側とに別の紛争があるような場合には、合意に至らず、正当な使用でも認められず、結局著作物の利用が妨げられる結果となる。

あと、著作権法の例外規定は限定解釈するものという見解が強いようだが、立法が欠けている部分で他の明文規定の趣旨が共通するものに関しては、類推適用をすることに妨げはない。これは著作権法であっても何法であっても同じことである。

そういうわけで、この判決の結論には賛成するが、法律構成として複製権侵害とするのは差し止めの問題にも広がる以上妥当でない。カタログ等の例外規定を類推適用し、許諾なき利用を認めつつ、不当利得ないしは不法行為による一定の額の金銭支払いを命じるというような解釈論が望ましい。

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» 【知財(著作権):損害賠償請求控訴事件/知財高裁/平22・10・13/平22(ネ)10052】控訴人:(株)東京美術倶楽部/被控訴人:X [判例 update]
裁判所の判断(by Bot): 1 争点1(複製権侵害の成否)について (1)認定事実  前記第2の3の前提となる事実及び証拠並びに弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。 ア 亡Aは著名な女流画家であり,本件各絵画は亡Aが制作した同人の著作物である。 イ 本件…... [続きを読む]

受信: 2010/12/09 19:27

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