news:頼りにならない大臣
結局、千葉景子という人がこれまでの人生で主張してきたことで実現可能なことというのは一つもなく、ただの夢想家、自分が責任者になったら官僚に丸め込まれて何も出来ないまま終わると、そういう評価が固まりそうだ。
法務省は、取り調べ方法に関する法制度構築という意味では当事者のひとつ、それもかなり既得権益を握って改革に反対する党派性を備えた官庁であるから、第三者的な立場とか中立公平な立場で何か調査したり立案したりする属性がない。
もちろん最も専門性を有する存在であることは間違いないが、その党派性故に、「可視化を制度化している外国に検事約20人を派遣して、運用状況を調べる」というのも可視化の弊害に使えそうな材料だけを沢山集めてくるという疑いを禁じ得ない。法務省自身が何か調査するのは、日本相撲協会が自分で自分たちの疑惑を調査しますといっているのと同じ構図である。
仮に従前明らかになっていること以上ことを調べる必要があるというのなら、法務省にも弁護士会にも警察にも調査受忍義務を負わせる権限を与えられた第三者的な立場の独立委員会が、実施主体となるべきであろう。
しかしそんな調査を今さら税金使ってやるよりも、これまで行われてきた調査結果をきちんと検討すれば足りるのである。法務省自身の手による調査だってこれまで十分行われてきたであろう。海外渡航費に税金使うぐらいなら、ネットで調べられることや文献に載っていることをスキャンしてまとめた方が実り豊かであろうに。
こういう税金の無駄遣いを防止する仕組みはないのであろうか。
取り調べの可視化のみならず、他にも死刑の問題や選択的夫婦別姓の問題など、千葉景子さんが法務大臣になった意義を問われる案件が山積みである。
特に死刑の問題では、裁判所の死刑確定判決を理由もいわずに執行しないという子供じみたサボタージュに終始して自己満足に浸っているのだとしたら、最悪である。個別の死刑執行をしないのであればその理由を明らかにすべきだし、もし事実上の執行停止措置をしているつもりなら、その理由を明らかにして、当否を議論する場を設けるべきであろう。
選択的夫婦別姓制度導入に関しては、既に何度も述べているが、法案を繰り返し提出してきた政党が政権についたのだから、後はやるだけ。税金はシステムの変更に多少かかるだけ。それをしないのは、いままで出してきた法案が無責任なものだったのかということになる。
千葉景子さんは、今はなき亀井大臣の爪の垢を煎じて飲むべきであろう。
付)法務省の「取調べの可視化に関する省内勉強会の中間取りまとめの公表について」
結局、民主党の野党時代には、こうした調査検討を行わないまま法案を作って出してきたということか。
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コメント
地元としては「だから、前から言ってたでしょ」であります。
投稿: 酔うぞ | 2010/06/18 14:57
うーん、グーの音も出ませんね。
でもまだ見切ったわけではないし、私個人としては見切る必要もないのですが。
仕事しろーと遠吠えするくらいで。
投稿: 町村 | 2010/06/18 15:10
参院選後に内閣改造は確実にあるでしょうから
個人的には亀井法務大臣を切望しています
民主党生え抜き(というと語弊があるが)は自民党議員と
同じで、スマートなだけで官僚に理屈負けして何にもできない
甘ちゃんが多いように思います。威勢だけはいいんですけど
投稿: passenger | 2010/06/18 17:37
口は達者だが、手が動かない(実効性がない)人というのは、会社の中にもいます。
そういう人は、部下(または野党)の時は、えらい目立つのですが、責任者(または大臣)をやらせると、てんでだめです。
そばから見てると決断力がないんですね。
実務経験がないので、言っていることが腹落ちしていないのでしょうね。胆力がないんですよ。。。
責任者なのに、あっちこっちの意見を聞いて落とし所なんかを探そうとするから、迷走します。
責任者たるもの一度決めたら誰になんと言われようとやるんですよ。で、失敗したら切腹すればいいんです。
それくらいの覚悟がないと、責任者(または大臣)なんか引き受けなければいいんです。
投稿: 丸山満彦 | 2010/06/18 18:32
取調べの可視化を推進するという観点からは、鈴木宗男法務大臣というのがいいのですが。
投稿: 小倉秀夫 | 2010/06/18 18:35
この人は弁護士さんのようですが、相当フラストレーションがたまっているみたいですね。
http://twitter.com/GenYamaguchi/status/12032334810
http://twitter.com/GenYamaguchi/status/13648055177
http://twitter.com/GenYamaguchi/status/13648201017
http://twitter.com/GenYamaguchi/status/13814722413
投稿: デパ地下子 | 2010/06/18 18:44
>同省によると、検察庁が1年間で受理する刑事事件は約200万件。可視化のための機材購入の費用負担などを考慮すると、対象事件を絞り込むべきだと結論づけた。
カムコーダーを回しっぱなししても、DVD-Rが1枚30円なので、取調べに40時間かけても、記録費用は300円ぐらいです。
>可視化を制度化している外国に検事約20人を派遣して、運用状況を調べるという。
1人の出張費用を100万円とすると、これだけで2000万円ですか。2000万円もかければ、全国の区検、地検にカムコーダーを配備できるんじゃないの?
投稿: 井上 晃宏 | 2010/06/19 11:22
多分、別件逮捕抜きでも、取調べに300時間くらいかける前提でいるのではないでしょうか。たとえ無実であっても自白してしまうシステムを維持することが、捜査側としては望ましいわけで。
投稿: 小倉秀夫 | 2010/06/19 12:53