NET選挙運動宣言by 藤末健三議員
24日公示の参院選で改選を迎える藤末健三参院議員(46)=民主比例=は23日、ホームページ(HP)やメールなどで音声を流す方法で、インターネットを使った選挙活動を行うことを自身のHPで明らかにした。
メールなどで音声を流すというのが腑に落ちないが、添付ファイルをつけるということであろうか?
それはともかく、記事に「ネットを使った選挙活動は公職選挙法上、「パソコン上の文字情報などが文書図画に該当する」として規制対象となる。」と、当然のごとく書かれていて、またそれが世間の常識ともなっているのだが、このことは明文でそう規定されているわけではなく、例えばウェブ上に選挙運動となる情報を登録したら、それが表示される閲覧者のモニターの数だけ文書を配布したものと解して、違法というのである。
こういう解釈を、キテレツ解釈と個人的には呼びたいが、拡張解釈の限度を越えて類推解釈となっており、刑事罰の根拠となりうるかどうかは限りなく疑わしい。罪刑法定主義なんてことを習ったことがないか、その言葉の意味は知っていても人々の安心安全生活の基礎として重要な原理であるという認識のない連中が作り出した解釈に違いない。
このキテレツ解釈に一応付き合うと、文書図画の概念に入りそうにない音声、さらには映像もセーフとなりそうで、YouTubeなどの動画投稿サイトに選挙演説動画を載せてもオッケーなはずだ。しかし最近のネット「解禁」議論の中でYouTubeはいいことにしようという議論がされていたから、いつの間にか動画も文書図画だということになったのかも知れない。
ともかく、新しい技術や媒体が出てきた時に、民事的には法の欠缺を解釈によって埋めるわけだが、刑事的には罪刑法定主義が当然の前提であって、書かれていないことは罰せられないのである。行政的規制も、キテレツ解釈を行政庁がするのはある程度仕方がないが、刑事的なエンフォースはないと考えるべきである。
ということは法学的常識だと思っているのだが、世の中、ハードディスクが猥褻「物」だという解釈をもって刑事罰を科すこともあるので、やはりキテレツ解釈であっても摘発され立件され有罪となるリスクはある。
藤末議員の勇気ある突破力は応援したいし、議論を進展させるトリガーとなることを期待したい。
が、できればマックで読めるファイル形式を使って欲しい・・・
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コメント
はじめまして
ネットがない時代なら、大学の先生に私の文章を読んで頂くことなどなかっただろうと思ってます。
誰でも情報や意見を発信できるのは、良いことではないかと感じています。
ネットで選挙運動は賛成です。
東野圭吾さんの「11文字の殺人」で解説をしていられる宮部みゆきさんの「文は人なり」の意味を調べていたら、このHPに辿り着いて謎のスイートコーンの話が面白くついつい拝見させて頂きました。
先生もミステリー小説が好きらしいので経緯を書いてみました。
熱中症に気を付けてください。
投稿: 小口和宏 | 2010/06/24 12:01
> ハードディスクが猥褻「物」
これは,ディスプレーの表示が,文書・図画に該当しないという前提にたっているので,一応,
> 表示される閲覧者のモニターの数だけ文書を配布したものと解して
このような解釈を排除しています。
投稿: tedie | 2010/06/24 12:13
それはわいせつ物の方の話ですね。
そのでんで行けば、文書図画はサーバー一台のはずなんだが。
いや、もちろん法の趣旨とか立法目的とかによって「文書図画」の解釈が違ってもいいんだけど、規制の必要に併せて伸縮自在な解釈が許されるものではないし、こじつけでしかないような解釈は妥当でないと思うわけですよ。
で、弊害があれば、それを立法事実にして新たな規制立法を作ればよろしい。
投稿: 町村 | 2010/06/24 13:07
音声による候補者によるネット選挙運動は、古いところでは
2000年 総選挙 (島聡)
2000年 長野知事選挙(田中康夫)
2001年 参議院選挙(白川勝彦)
とあり、新しい話ではないですね。初めてやった島さんは、今はソフトバンク社長室長。
投稿: 崎山伸夫 | 2010/06/25 02:26
> そのでんで行けば、文書図画はサーバー一台のはずなんだが。
わいせつ物の解釈の仕方で行けば,選挙法における「文書図画」は存在しないことになります。
サーバがわいせつ物という解釈自体疑義が提起されている刑法の解釈より,相当程度,解釈を拡張,類推しているのが,町村先生が指摘された解釈だということです。
#サーバがわいせつ物という解釈が苦しいのを解決しようという改正案は,廃案になってしまい,復活の兆しが見えませんが。
投稿: tedie | 2010/06/27 14:18
大阪FLマスク事件で素直に無罪判決を出しておけば、立法による解決を真面目に検討したのでしょうけどね。
投稿: 小倉秀夫 | 2010/06/27 19:13