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2010/06/06

arret:過払い金債権も更生債権

最判平成22年6月4日(PDF判決全文)

更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することが信義則に反しないとされた事例

これはずいぶん前にも話題となったケースだが、最高裁の判断は今回が初めてではなく、最判平成21年12月4日(PDF)が同じライフカードの会社更生後の過払い金債権失権を是認している。今回の判決は、それに対して、新しい判断がされているのであろうか?

前回の判決に現れていなかった事情としては、以下の判示部分がある。

また,上告人と同様にAをスポンサーとして進められたBの更生手続において,更生手続開始の決定前に発生した過払金返還請求権につき,更生債権としての届出を必要とせず,更生計画認可の決定による失権の効果は及ばないなどの取扱いがされたとしても,異なる事情の下で進められた上告人の更生手続において,これと同じ取扱いがされなければならないと解する根拠はなく,上告人による失権の主張が信義則に反することになるものでもない。

この部分は、会社更生手続が裁判所の指導監督の下で、第三者たる更生管財人の管理処分権に基づいて遂行される以上、とりわけ失権の有無の取り扱いは法的判断であり、特段の事情がない限り同様に扱うべしという考え方も成り立ちうる。そう考えるなら、不当な判断ともいえる。
しかし、倒産事件の処理の中で、再建をはたすために、どの範囲の債権者を優遇するかはある程度裁量の余地がある。例えばJALの更生手続など、一般の取引債権が優遇されるというのであるから、かなり異例であり、債権者平等に反するような取り扱いである。それでも、その債権を優遇しない限り、再建はほとんど覚束ないのであるから、やむを得ないであろう。一応、継続的給付を目的とする債権は特別扱いするとの規定(会社更生法62条)もあり、法の趣旨からすれば、JAL倒産の場合の一般取引債権優遇も故ないことではない。
従って倒産会社の事情により扱いは異なりうるのであって、JALで認められたから、別の会社の倒産事件でも燃料代は優遇されると決まったものではない。

加えて過払い金債権は、そもそも未届けでも失権しないというような特別扱いが必要な債権なのかどうかは疑問の余地がある。少なくとも会社再建の目的からすれば、一般債権と同様だ。

ただし、不当な高金利の被害回復という観点から見れば、不法行為債権が倒産事件でも優先的に救済されるべきとの考え方も成り立ちうる。こうした観点から特別扱いした例もあるので、過払い金債権についても、そうした趣旨を前面に出して主張してみれば、解釈論もしくは立法論につながる可能性があろう。

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