ADR:第3回欧州調停会議
去る5月27日と28日の両日にわたり、第3回目のヨーロッパ調停会議( la 3e conférence européenne de la médiation)が開催された。
場所は、パリ近郊にあるBourg-la-Reine
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2007年にウィーンで、2008年にベルファストで開催された欧州調停会議が、2010年にパリ近郊にやってきた。
さて、フランス語でメディアシオンという場合、調停と訳すのが落ち着くのだが、メディアシオンという概念にはオンブズマンも含まれている。オンブズマンとは、例えば共和国オンブズマンという独立機関で、市民からの苦情を受け付けて政府に勧告を行うという職務を基本としている。
日本でオンブズマンというと、株主オンブズマンとか市民オンブズマンとか、どちらかというと市民運動組織の方が目立つのだが、フランスのメディアトゥールに相当するオンブズマンも存在する。
その典型が札幌市オンブズマンだ。
ここで紹介している第3回欧州調停会議でも、プログラム(pdf)によれば、欧州オンブズマンの講演と民主主義ツールとしてのオンブズマンの役割をテーマとするラウンドテーブルがあり、企業の苦情処理機関を中心とするセッションがあり、学校調停や労働調停とピア・メディアシオンのセッションがあり、企業間商事調停のセッションがあり、国際的子供誘拐に関する調停のセッションがある。もちろん、我が国で調停といってイメージする市民館の法的紛争の裁判外紛争処理手続も、セッションとして取り上げられている。
その中に、オスロ赤十字のストリート・メディエーションという取り組みも紹介されている。これは、若者にメディエーションスキルの訓練をすることで、日常生活での紛争、特に街中でのトラブルを調停できるようにして、暴力事件を予防しようというものだ。
有効性については議論があるだろうが、市民仲裁人みたいなアイディアは古来から存在しており、現代社会でも通用するものと考えられる。
環境問題でも、監獄内の問題でも、国際紛争でも、セクハラ等でも、家事紛争でも、介護問題でも、とにかく利害関係対立状況と交渉を通じた問題解決を図る中立第三者の関与であれば、「調停」の概念に含まれる。もちろん刑事事件における加害者と被害者との調停も。
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