jury:有罪率100%の裁判員裁判1年
事実として、裁判員裁判の1年間に530人の被告人に対して全員有罪判決が下された。
執行猶予は93人についたので、17.5%。逆に言うと実刑率は82%。
asahi.com:裁判員裁判、95%で記者会見実施 発言制止は1割
発言制止というのは、記者会見に立ち会った裁判所職員が守秘義務に触れる恐れがあると指摘した件数である。
実際には、守秘義務の存在と、その順守を監視する裁判所職員の存在により、本来の守秘義務の範囲以上の萎縮効果が生じるであろうことは想像に難くない。
立ち会う裁判所職員だって、その場に出てきた問題について適確に必要最小限の制限をかけることが出来るわけではなく、そうするとどうしても安全策に走ることになる。
守秘義務違反となる発言を見逃して、後々問題となったときに、「裁判所職員がいいと言った」と言われてはたまらないので、それよりは逆に守秘義務を広めに解しておいた方がよいというわけである。
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コメント
町村先生 こんにちは。
かつて,一部の弁護士グループや著名法学教授等は,「裁判員裁判になれば有罪率が低下する」と明確に主張しておりました。
私は,「そんなことあるはずがない」と信じておりましたので,後日のため,彼らの主張が書かれた書籍・パンフレット類をいつでも利用可能な状態で保存しております。
しかし,現在,彼らはこの点について何もコメントしませんね。なぜでしょう?
投稿: 夏井高人 | 2010/05/21 14:11
まだ数が少ないし、検察が慎重になっているということはいえるのではないかと。他の方面から見れば、事件処理の遅れとか罪名の縮小(?)とかに現れているわけですから。
埼玉かどこかで母親を殺し娘を怪我させたということで逮捕された完全否認事件あたりが、注目されるかもしれません。
投稿: 町村 | 2010/05/21 14:16
夏井先生
まだ、本格的な否認事件が裁判員制度にかかっていないからではないでしょうか。
東金女児殺害事件はかろうじて裁判員制度の前ですし。
投稿: 小倉秀夫 | 2010/05/21 16:40
あと、痴漢関係が裁判員裁判の対象外となっていることも大きいのではないでしょうか。
投稿: 小倉秀夫 | 2010/05/21 16:41