divorce:離婚夫婦の養育費トラブル
離婚した後に、養育費をめぐって調停を提起する件数が増大している。
asahi.com:養育費トラブル急増 離婚夫婦の調停件数、戦後最多に
最高裁家庭局のまとめによると、離婚後に養育費をめぐって申し立てられた調停件数は03年の1万7千件強をピークに最近は1万5千件程度で落ち着いていたが、09年は1万8513件となり、前年から17%増えた。これに伴い、審判件数も前年比30%増の2911件となり、いずれも戦後最高を記録した。
離婚は離婚届だけで裁判所に行かなくてもできるのが日本のよいところだが、離婚後の経済的弱者のケアや子の監護に要する経済基盤は十分でない。
離婚届を出すとき、子供の親権者は指定しなければならないが、財産分与や子供の養育費・扶養料などを決めなければならないわけではない。
決めたとしても、離婚届に記載して強制できるというような制度はない。
そこで、離婚後に養育費をめぐるトラブルが生じれば、改めて調停・審判により紛争を解決しなければならいのだ。
2009年の増大は、経済状況の悪化が原因となっているのであろう。
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コメント
恥ずかしながら離婚者です。離婚時に調停をしてます。公正証書作るくらいなら、最初から調停で決めた方がよいと思ったので。札幌では、増築された地裁・高裁ではない方の建物でやってます。「離婚は離婚届だけで裁判所に行かなくてもできるのが日本のよいところ」は僭越ながら同意しかねます。離婚に伴う法律関係の解消は単に親権や養育費・財産分与の問題だけではないので、(建前ですが)裁判官が立ち会うシステムの方が合理的だと思います。泥沼の場合を除けば、そんなに期日もありません。公正証書を作るためにお金をかけるくらいなら、調停の方が合理的だと思います。ただ区役所に届けを出すだけでは、上記報道のように後から問題が出てくることもありますし、感情論で変な解決をしないで済む利点もあります。因みに、一度調停離婚をしても、再度調停は申し立てられます。もちろん「離婚は無かったことに」ではないです(それは、再度婚姻届を出せばいいだけなので)。養育費の合理的な金額の引き直し等は出来ます(やったことないですが)。比較法的に見ても、婚姻・離婚共に戸籍に載る割には、ルーズな日本のシステムは例外的なのではないでしょうか。
投稿: はる | 2010/05/18 02:31
離婚に裁判所を関与させるのは、キリスト教の影響下にある国々の特徴でしょうが、実用面からいうなら、子供もいなければ財産もたいしてないカップルの離婚に裁判所を必ずかませるというのは過剰でしょう。
ただし、おっしゃるように決めるべきことがあるのに決めないで分かれてしまうケースは困りものです。が、当事者が困ったなら、後からでも裁判所に来ればよいので、やはり最初に必ず裁判所を通れというのは過剰規制な感じがします。
投稿: 町村 | 2010/05/18 13:13
おっしゃる通り、「先に裁判所」は、過剰かもしれません。事後判断でもいいかもしれません。財産が無く、子供がいなければ、明らかに過剰だとは思います。そもそも、この不況下、事後的に調停をしても「無い袖は振れない」のが実態かもしれませんが。なお、破産法253条①で養育費は免責されないと思いますが、現実に払えるのでしょうか?免責させない事に意味があるのだとは思いますが。
投稿: はる | 2010/05/18 14:54