book:裁判百年史ものがたり
夏樹静子さんの著名裁判物語集である。
各裁判は、よく知られているもので、もちろん大逆事件といえば幸徳秋水が爆弾で天皇暗殺を試みたとされる事件ねとか、大津事件といえばロシア最後の皇帝になる皇太子が大津で巡査に斬りつけられて、時の大審院長が政権指導者の死刑要求をはねつけた事件ねとか、概略は分かる。
しかしそこは並の法律家の書くものとは違う。夏樹さんの手にかかると、登場人物(なぜか当事者というよりもそういいたくなる)の心理描写や会話が織り交ぜられ、大逆事件に関わった人たちの行動とか、大審院長の心の動きとかが生き生きと描き出され、読者の脳裏に息づくように伝わる。
さすがは小説家である。
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