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2010/04/21

arret:個々の神社が神社本庁から離脱する規則変更の正当性

表題の通りの事件だが、争点はやや明後日のところにある。

最判平成22年4月20日判決全文PDF

神社の動向が大好きそうな産経新聞では、以下のように報じられている。

気多神社は平成17年、神社本庁から離脱するため宗教法人規則を変更し、県の認証を受けた。しかし、離脱に反対する神社本庁の請求を受け、文科省は18年、変更後の規則に財産処分に関する項目がないことは宗教法人法に関する規定を欠き、違法と判断、県の認証を取り消す裁決をした。
 同小法廷は「宗教法人の規則は、財産処分に関する事項を定めた規定が存在しなくても、それだけで宗教法人法に違反するとはいえない」と指摘し、裁決を違法だと結論づけた。

気多神社とは、縁結びの神として有名なところらしい。→氣多大社HP

事件は、上記記事にある通りだが、実質的な争点は包括宗教法人たる神社本庁との被包括関係を解消出来るかどうかである。
問題となった規則変更は、基本財産や宝物の処分などの行為をするときに神社本庁統理の承認を要するという趣旨の規定を削除するというもので、神社本庁はこの規則変更に横槍を入れた。これを削除したら財産処分に関する規定がなくなるので、宗教法人法違反になるというのだ。

それなら上記規定から単純に神社本庁統理の承認を要するという部分のみを削除すれば良さそうなものだが、そうはせず、そのまま文科大臣が裁決で規則変更を違法とし、その裁決取消の訴えを提起して上告審まで至ったものである。

この直接の争点に関しては、これまで行政庁に団体規則の認証を求めるという場面に関わった乏しい経験からしても、法律上必要な重要事項を欠いた規則では認証されないというのが普通ではないかと思われる。この点、最高裁は以下のように判示する。

法12条1項8号によれば,宗教法人の規則には,「基本財産,宝物その他の財産の設定,管理及び処分,予算,決算及び会計その他の財務に関する事項」を記載しなければならない。同号にいう「基本財産,宝物その他の財産の設定,管理及び処分」は,その文理に照らせば,「財務に関する事項」の例示であるから,宗教法人の規則に記載するのが望ましいことはいうまでもないが,これを必ず記載しなければならないとまではいえない。
また,法23条によれば,宗教法人が例えば不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し又は担保に供しようとする場合において,規則に別段の定めがないときは,これを責任役員の定数の過半数で決し(法19条),かつ,その行為の少なくとも1か月前にその行為の要旨を公告しなければならないとされ,これに違反した行為は法24条の定める限りで無効とされる。したがって,規則中に財産の処分に関する明示的な規定を持たない宗教法人があったとしても,法23条及び24条の定める範囲でその財産の不当な処分が防止され,財産が保全されることとなる。

 通常の監督官庁は、決してこのように物分りが良い判断は示さず、法律に規定があるから規則にはいらんだろという態度で接すると、何度でもしつこく指摘される羽目になる。その上申請事務を担当する人からはだんだん信用を失い、ついにはもうどうにでもしてくれ、どうせ規則なんてコピペすればいいんだろという気分になっていくものである。
 そこは流石に最高裁、合理的な解釈を示してくれたと評価できるが、これを信じて行政庁に認証を求めるときに勝手に「合理的」な規定を作ると、やっぱりダメでしたということになりそうだなぁとは思う。

 個人的感想はともかく、神社本庁なる包括宗教法人と個々の末端神社とは、どれほどの包括関係があるのであろうか?
 上記の気多神社のウェブページを見ても、規約はおろか、今回の訴訟案件について一言も触れられていないので、他の末端神社のウェブページを見ても分からないであろうし、800万もの神社ウェブページを見ていく気にはならない。(800万という数字の意味はお分かりだろうと思うが、神社の数を指すものではない。イチャモンやさんのために、為念)
 また、神社本庁傘下の神社は8万社と本庁ホームページに書かれているが、その出先機関らしい石川県神社庁なる組織のウエブの「神社を探す」で探してみると、件の気多神社がちゃんとリストに載っている。離脱をまだ認めていないから残っているのか、それとも傘下かどうかに関わらずリストに載せるポリシーなのか、不明である。
 いや、よく見ると、石川県神社庁のリストに載っている「氣多神社」の電話番号やFAX番号は、気多大社HPの電話番号やFAX番号と違う。どうやら、宮司さんの任免にも発展しているようである。この神社に何か神事をお願いしたくても、神社庁系統から依頼したら神社自体を実効支配していない人のところにいってしまうのではないか?
 
 ともかく、神社の世界にもこういう争いがあるのだということが、この判決により分かった。教材に使わせてもらおう。

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コメント

電話番号まで確認したわけではないですが、ウィキペディアによると石川県には、気多大社と気多本宮の二つの気多神社があるようです。

投稿: お | 2010/04/21 19:28

神社本庁と全国の神社との関係については,下のリンク先に気多神社の責任役員会と総代会による見解が出ています。

http://0092.jp/kenkai.html

投稿: ぎゃーす | 2010/04/22 08:11

情報どうもありがとうございます。

http://0092.jp/index.html

これはますます教材になりやすい素材ですが、明治神宮も神社本庁から離脱していたという記述もありますね。
しかし東京都神社庁の神社案内にはちゃんと明治神宮もリストされていて。

投稿: 町村 | 2010/04/22 08:56

立ちあがれ日本の目玉候補らしいタモジンが、NYまで行って日本人聴衆集めて、幸福追求党の支援を受けて、すべて日本語で、根拠を示さないオナニー講演をしたらしい。
例によって被爆国は核武装の権利があるとか、武力を背景に外交すべしとか。

こんなバカが集うのにふさわしいのが立ちあがれ日本だというのは同意。石原とか西村真悟とか、そのほか安倍とか麻生とかも合流して隔離すりゃいいのに。

投稿: 石原きらい、金返せ | 2010/04/22 11:17

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