Twitterはネットの選挙関連言論を自由にするか?
京都府知事選に関して、tweet(つぶやき)がどこまで許されるのか、公選法的に問題になっている。
京都新聞>ヤフー:ネットつぶやき、どこまでOK? 京都府知事選 「想定外」選管困惑
「京都・宇治で山田啓二知事の集会に参加しました」−。京都選出の参院議員は3月中旬、ツイッターにこう書き込んだ。市民に政治を身近に感じてもらおうと日に数回、活動を報告している。「自分の政治活動として集会に参加したなど客観的事実は違法とは思わない」と話し、告示後も削除せず、選挙中も報告は続けるという。 門祐輔候補の支持者も告示前「門先生の演説会がありました」など、活動報告を書き込んできた。しかし告示後は「弁護士に、更新しなければ問題ないのではと言われたが、何かあれば迷惑がかかるので、履歴も削除した」という。
これまでの「常識」からすれば、候補者関連に関して告示前は自由に意見表明してもよいが、告示後は凍結するということであり、一般市民までもが同様の規制に服すると考えられてきた。
およそ、表現の自由、それも政治的な意見表明の自由を選挙管理の都合というお上の都合だけで簡単に制約するもので、その萎縮効果は上記「門祐輔候補の支持者」の「何かあれば迷惑がかかるので、履歴も削除した」という発言に端的に表れているように、極めて甚大である。
にもかかわらず、印刷コストがかかるから枚数制限して公平を図るというのが立法理由である紙媒体の制限を、そんな立法理由が全く当てはまらないネット表現に無理矢理「適用」して、それで電子媒体の形態が変化発展すればその都度苦しいつぎはぎをして規制を及ぶ理屈をひねり出していく。
一般市民の問い合わせにも答えてくれた総務省の方々には申し訳ないが、無駄な努力である。
こんなバカなことはもう止めたらどうかと、原口氏が総務大臣になっているこの時をおいて、止めてしまう好機はないはずなのだが、なぜか進まない。
亀井大臣に比較して、ひ弱と見られても仕方がないのではあるまいか?
ちなみに、Twitterはメッセージが流れていくのだからウェブページとは違う、だから許されると言う人がいるらしい。これはこれでアホみたいな解釈論であり、Twitterにもログがしっかり残っていて検索対象にもなるということを知らない人の言うことであろう。
こういう論理を振り回す人は「Twitterではメッセージが流れていくのだから他人の誹謗中傷などしてもウェブページと違って許される」みたいなことになりかねず、極めて危ない。
ネット言論は匿名だと信じて安易に他人の権利侵害をしてしまうネット厨房と同レベルである。
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