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2010/03/19

jugement:公序良俗違反

asahi.com:「上納金」は不当利益 暴力団会長に返還命令 広島地裁

かつて学生時代に民法を習い始めたとき、公序良俗違反の例として犯罪を行うことの対価の約束(例えば殺し屋の報酬)は分かりやすかったが、その逆、悪いことをしないという約束をして、これに対価を約束した場合も同じというのが腑に落ちなかった。

しかしこのケースなら、とてもよくわかる。

判決によると、元社長は、被告人が共政会傘下の組長だった1999〜2002年、組長代行の男から「工事をする時にはうちの組にあいさつしてもらうことになっとるじゃろうが」などと脅されて受注工事代金の1割を要求された。同市中区の組事務所で被告人に計8回にわたり、総額約3400万円を手渡したとされる。

 判決は金のやりとりを「金を渡す代わりに犯罪行為をしないことを約束するもの」と指摘し、「工事を世話した謝礼にすぎない」とする被告人側の主張を退けた。

刑事的には典型的な恐喝であるし、このような金銭給付が有効と解されるはずもなく、なるほど典型的な公序良俗違反事例である。
契約法の枠内であれば、意思表示の無効で不当利得返還ということになるが、不法行為に基づく損害賠償請求も同様に成り立つであろう。つまり請求権競合。

もっとも、教室設例としては典型例と考えられるこの事件も、実際に責任を追及し、かつ金銭被害を回復するのは極めて困難だ。暴力団相手に訴えを起こして長期にわたる訴訟を追及すること自体のリスクは、その期間中の嫌がらせのおそれや、暴力団に脅されている関係業者との関係悪化、仕事の困難なども予想される。
また今回のような判決を得て確定したとしても、相手がヤクザであれば、債権回収には困難が予想され、そもそも金はないかもしれない。仮に不動産を所有している組だとしても、そんなの競売して誰が買うのかという問題もある。

だからといって諦めれば、恐喝行為に対するサンクションは刑事的な制裁だけで、民事的には旨みがあるということになってしまうのだが。

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