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2010/03/23

google中国の検閲に協力拒否

勇気ある会社だ。私的検閲官となることを拒み、10億の巨大市場を事実上諦めるとは。

CNN:グーグルが中国でのネット検閲中止、事実上の撤退表明
Nikkei:エラー出まくりのため省略
asahi.com:グーグル、中国本土での検索撤退 検閲廃止認められず
サーチチャイナ:グーグルが中国から撤退…経過説明と抗議の声明(全文)

このうち、一番最後の記事がきちんとグーグルの声明を載せているので参考になる。コメントを付けつつ紹介しよう。

このグーグルの声明から注目点を抜粋してみよう。

われわれの調査によれば、中国で接続している人権保護活動家数十人のGmailアカウントが第3者により日常的にアクセスされているとの、明白な証拠が存在した。おそらくは、それらのコンピュータに置かれたフィッシング詐欺・マルウェアを通じて実行したと思われる。

日本政府はこの実行犯について、不正アクセス禁止法違反の廉で国際手配すべきだと思うが、どうか?

中国はウェブに対してあからさまな攻撃や監視を実施している。Facebook、Twitter、Youtube、Google Docs、ブログを含めて、同国のウェブにおける言論の自由に一層の制限を加えようとして、しつこく妨害を繰り返していることも考えあわせ、われわれはGoogle.cnの検索結果における自己検閲を、もうこれ以上続けることはできないとの結論に達した。
さて、中国は反政府活動がことのほか怖いのだが、日本政府や日本の一部自治体、それに権利マフィアなどがそれぞれの「怖い」テーマに関して、類似の圧力を検索エンジン運営者やウェブホスティングプロバイダ、はてはアクセスプロバイダに対しても行おうとしていることを思い出すべきだ。 テコとなるのは児童ポルノやテロリストなど、誰もが反対しにくいコンテンツであり、これらを追放するためには通信の秘密なんて屁の突っ張りでしかないといい、ペドフィル野郎やテロリストを摘発するためには通信媒介者に私的検閲官の役割を押しつけ、きちんとやらないと処罰するとまで言い出している。 そのターゲットが児童ポルノやテロリストにとどまっている保障はない。そして現に、「著作権侵害は行けないでしょ」という人々、そして「誹謗中傷はいかんでしょ」という人々、「ポルノは害悪でしょ」という人々、「出会いの場は売春の巣窟でしょ」という人々、「非出会い系サイトもコミュニティサイトは犯罪の源泉でしょ」という人々が、情報発信者の責任追及に飽きたらず、各種プロバイダに圧力をかけて、責任を肩代わりするように求めたり、検索エンジンによる被害拡大を防ぐためとしてブロックするように求めたりする。 これらの圧力をかける人々は、中国政府にあこがれと共感を覚えるのであろう。そうでなければ理屈が通らない。
われわれは、Goole.com.hkを通じて、簡体字による無検閲の検索結果を提供することが、直面した問題を解決する賢明な方法と確信する。それは完全に合法的であり、中国の人々の情報アクセスを増やす、意味ある方策だ。
かくして中国本土の拠点ではなく、香港を拠点にすることで、検閲に協力しないこととしたわけで、勇気ある決断を賞賛したい。 しかしながら、わが国で問題となっているグーグル八分についてはどうなのかと、それを忘れるわけにはいかないであろう。 グーグル八分については、以下の本と、それからこのブログでもいくつかのエントリで触れたのでご参照頂きたい。 グーグル八分発見システム google八分と著作権侵害の争い方

なるほど国家権力による検閲と、私人・私企業が被害救済のためにプロバイダや検索エンジンに情報伝播を止めよと要求することとは違う。後者は適法な行為である。しかし、これを法的に要求し、強制し、従わない場合に刑事罰すら科そうとするのは、国家による検閲行為に限りなく近づく。そしてその迎合は、今回のグーグルの毅然たる態度とそぐわないものである。

最後に、この決定が、米国の幹部により進められ、実行されたものであることを、はっきりと述べておく。中国国内の被雇用者にできることではなく、すべきことでもなかった。したがって、彼らに責任を負わせることはできない。
こうした気配りが必要なほどに、中国政府は危ないわけである。しかし危ないのは中国政府当局だけではなく、フランスの裁判所などヨーロッパでも、気に入らない情報を伝達したプロバイダの現地職員に対して刑事訴追することがあった。 著作権侵害に業を煮やして、直接の侵害者以外の者の刑事責任を追及しようと試みる場合には、これと類似の構図であることを忘れないようにすべきだ。もちろん特定の犯罪行為を助長することを意図してネットワーク機能や技術を提供したものが幇助となるのは当然なのだが、特定の犯罪行為助長を意図したかどうかが明らかでない場面にまで幇助犯を広げれば、結局事前にきっちり検閲することがサービス提供の前提となってしまうのである。

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コメント

>国家権力による検閲と、私人・私企業が被害救済のために
>プロバイダや検索エンジンに情報伝播を止めよと要求する
>こととは違う
まずは、マスコミに申し上げたい内容だと思います。ま、既に私は日本のマスコミに期待してないですが。最近の例では、「北朝鮮、4月9日、最高人民会議開催」というニュースについて、殆どの新聞、通信社が3月21日に配信していました。多分、ラジオプレスは、遅くても20日までに配信しているはず(私のブログですら、20日中に配信)。この時間差の間に、何があったのか、若しくは無かったのか?あと、最近気になるのは、政府筋(検察の問題以外でも)の話と言う、観測気球記事が多すぎます。

投稿: はる | 2010/03/23 13:38

■Gmail不正ログイン警告機能―もうすでに警告が出ました!!

こんにちは。最近、中国からのGoogleユーザーに対する検閲が話題になっていますね。Googleは、中国からの検閲を牽制するためもあってか、Gmail不正ログイン警告機能を強化しました。これに関して私は、この発表の一週間ほど前に、すでにこの機能をのことを知っていました。そうです、中国に対する批判の記事をしょっちゅうブログに書いたり、中国本土の人々と頻繁に連絡をとる私には、もうすでにそのときに警告が出ていたのです。Googleは時々何の知らせもなく、新たなサービスを導入するので、びっくりすることがあります。これも、その例の一つで、いきなり何の前触れもなく警告をみたときにはびっくりしました。でも、この警告機能がついたおかげで、安全に使えるようになり、ますます便利になったと思います。私のブログでは、警告がでたときにどのような対処をしたのかなど掲載しました。詳細は是非私のブログを御覧になってください。

投稿: yutakarlson | 2010/03/26 13:38

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