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2010/03/20

book:法情報学の世界

指宿信・成城大学法学部教授の最新著(第一法規・2010)である。

帯に、法情報学で初の理論的体系書とあるように、内容は著者のこれまでの法情報学研究をとりまとめたものだが、その体系化の試みでもある。

法情報学基礎論と題する第1部では、第1章「法情報の生成」として法令と判例の概念や生成・提供が取り上げられ、第2章「法情報の公開とアクセス」として、特に裁判情報へのアクセスの困難が取り上げられている。
法情報学応用論と題する第2部では第3章「法情報システム論」として法令判例の公開、特にデジタル公開に関する問題を深く掘り下げて論じられ、第4章「法情報管理論」として政府による公開、NPOによる公開、そして日本法の英訳について論じられている。第5章「法情報検索論」では、インターネットとリーガルリサーチの、今となってはやや懐古的な内容も含む発展を追い、第6章「法情報教育論」では法学教育におけるIT利用の現状と課題を論じられる。そして第7章「法情報処理論」では、法廷プレゼンテーションの問題や法学紀要の概念が論じられ、第8章「法情報環境論」では教室のハイテク化、司法のIT利用、そして図書館のあり方が論じられる。

それぞれ既刊論文を土台としているだけに、時代的な偏差や内容的重なりなどが見られるが、著者の法情報部門におけるこれまでの業績を集大成するとともに、法情報学という学問分野の体系化を提示した労作と評価できる。

法情報学の先駆的な業績としては、下記の加賀山・松浦編にかかるものがある。

こちらは学問的な体系化というよりも、法情報調査とその実務家による活用を目的としたスキルの集成であり、法律専門家の作業(事実調査、情報調査、分析構成、理論武装とアウトプット)を中心に据えている。

この先駆的業績と今回の新著とは書籍の目的の違いがあるわけで、指宿教授の新著は法情報学の学問としての厚みを一段階アップさせたものである。

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