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2010/03/02

Book:民事法律扶助マニュアル

法律扶助は、裁判へのアクセスを保障する憲法上の権利だ。

憲法32条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と定めている。
貧困が原因で裁判が起こせないというのでは、この32条が空疎なものとなってしまうので、法律扶助という制度がある。

といっても、昔からあるのではなく、実は国の制度として確立したのは平成になってから、民事法律扶助法という法律ができてからである。
それ以前は、弁護士会の自主財源で行われていた。

現在は、司法制度改革の一環として、総合法律支援法30条が法テラス(司法支援センター)の業務として以下のように定めている。

二  民事裁判等手続において自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者(以下「国民等」という。)又はその支払により生活に著しい支障を生ずる国民等を援助する次に掲げる業務
イ 民事裁判等手続の準備及び追行(民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものを含む。)のため代理人に支払うべき報酬及びその代理人が行う事務の処理に必要な実費の立替えをすること。
ロ イに規定する立替えに代え、イに規定する報酬及び実費に相当する額を支援センターに支払うことを約した者のため、適当な契約弁護士等にイの代理人が行う事務を取り扱わせること。
ハ 弁護士法 (昭和二十四年法律第二百五号)その他の法律により依頼を受けて裁判所に提出する書類を作成することを業とすることができる者に対し民事裁判等手続に必要な書類の作成を依頼して支払うべき報酬及びその作成に必要な実費の立替えをすること。
ニ ハに規定する立替えに代え、ハに規定する報酬及び実費に相当する額を支援センターに支払うことを約した者のため、適当な契約弁護士等にハに規定する書類を作成する事務を取り扱わせること。
ホ 弁護士法 その他の法律により法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による法律相談(刑事に関するものを除く。)を実施すること。

これと並んで、民事訴訟法には「訴訟救助」という規定もある。訴訟救助は裁判に必要な訴訟費用を国が建て替えてあげるという制度であり、予納義務がある訴え提起の手数料とか、証人の費用などが立て替えられる。
重要な違いは、訴訟救助では原則として弁護士費用を出してもらえないが、法律扶助は弁護士費用が出るのである。

問題は、予算規模が乏しすぎて、十分な扶助が提供できていないというところであろう。
昨年10月の朝日新聞に「法テラス、予算ピンチ 不況で民事法律扶助利用が急増」という記事が載っていたが、年間100億円強の運営交付金予算で、これでも相当に増えた。
来年度は要求段階では151億円だった。

国際的には、全く足りないというのが現状だ。

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