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2010/02/19

Technicolorの倒産処理に見るプリパッケージ型とJAL

フランスの旧Thomson、現Technicolor社について、ナンテール商事裁判所は2010年2月17日に、企業救援計画を確定する判決を下した。

Dalloz:Sauvegarde de Thomson : arrêté du plan de sauvegarde

Technicolor社のプレスリリースはこちら

Technicolor: End of ‘Sauvegarde’ Proceeding
2/17/2010
Paris, 17 February 2010 - Technicolor (Euronext 18453 ; NYSE : TCH) announces that the Tribunal de Commerce de Nanterre (Commercial Court of Nanterre) approved the Company's 'sauvegarde' restructuring plan in its ruling today.
The Commercial Court's ruling brings an end to the 'sauvegarde' proceeding entered into by the Company on 30 November 2009. It follows the near unanimous approval of Technicolor's restructuring plan by all creditors' committees (suppliers, syndicated lenders and noteholders) on 21 and 22 December 2009 and by the Company's shareholders on 27 January 2010.
Going forward, Technicolor will implement its restructuring plan and launch the securities offerings.

このsauvegarde(ソーヴゥギャルド)という手続は、日本で言えば民事再生に近いが、もう少し手前の、特定調停的な位置づけというのがよいか。裁判所の下での倒産処理手続なので、倒産ADRとは言いにくいが、フランス人的にはよりインフォーマルな段階での倒産処理というニュアンスで作られたものである。

テクニカラー社の今回の手続について、上記ダローズの記事は、いわゆるプリパッケージ型手続を行い、手続開始以前に債務者会社と主要債権者との間で再建方針についての話し合いがついていたことから、極めて迅速に済んだと評価している。実際、上記の英文プレスリリースによれば、手続開始決定が2009年11月30日、再建計画に対する債権者委員会可決が12月21日と22日、株主による同意が2010年1月27日、そして今回の裁判所の認可決定が2010年2月17日と、3ヶ月足らずで終結している。
もちろん計画にそった再建の履行はこれからだし、倒産企業の再建はこれからが大変なのだが、ともあれプリパッケージ型とはかくあらんやというお手本のようなスピードである。

フランス人的には、この企業救援手続が出来る前の企業更生・清算手続が手続開始決定から原則として1年間の観察期間をおいて、それから更生するか清算するかを決めるという法律になっていたことからも、3ヶ月で再建計画認可決定まで行ってしまうという迅速さは確かに驚きに価する。
しかしプリパッケージ型の本家であるアメリカの例を見ても、GMとかもそうだったが、三ヶ月というのはある意味で標準的である。事前調整が済んでいて、権利の変更を強制実施するに必要な手続を裁判所の下で行うということなのだから、そして何よりも平常経営を早く取り戻すことが大事なのだから、そんなに長く裁判所の監督下におかれるのは適当ではない。

その意味で、日本航空の会社更生手続は、どのあたりがプリパッケージ型だったのだろうかと疑問を禁じ得ない。法的倒産処理にいたるまでにさんざん大騒ぎしたことは事実だし、法的倒産処理にすることの合意を事前に形成することは行われた。しかしどのような方針で再建するかは、新社長の手を縛らないということで曖昧に済まされていた。
リストラ計画にせよ、路線の縮小にせよ、提携関係にせよ、みんな会社更生手続開始後に新経営陣が決めるというのだし、管財人が経営を直接指導するわけでもないという点で、従来の会社更生よりさらにのんびりした手続になっているような印象すら受ける。

従来の会社更生であれば、稲盛氏がつくべきポストは更生管財人であって社長ではない。経営担当の更生管財人として、法務担当の管財人と分担して再建のための実務を行うというのがこれまでのやり方だった。
その意味で、今回の日航再建手続は、プリパッケージ型というよりも、DIP型会社更生を先取りした手続となっているのではあるまいか。

なお、訳語には少々疑問があるが、邦文では、フランスの倒産処理手続について下記の本が参考となりうる。

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