law:コアカリキュラムに対する日弁連の意見書
法科大学院のコアカリキュラム案に対し、日弁連が意見書を出している。
これが、学者の考える教育のキーポイントに対して弁護士の考える法学教員のキーポイントがこんなに違うのかと、興味深いサンプルとなっている。
一言でいえば、学者の考えるコアカリキュラム案は詳細すぎ、網羅的すぎで、もっと必要な知識を絞り込めということであろう。
そのことをもう少し敷衍して述べているのが、総論コメントpdfである。
各論としては、民事訴訟法の部分しか見ていないのだが、上記のような傾向が顕著である。
その1つ、民訴総論にあるコアカリキュラム案と意見書の対比が面白い。
コア「民事訴訟法の歴史についてその概要を説明できる。現行民事訴訟法の制定の意義について曽野概要を説明できる。」
意見書「民事訴訟法の改正の経緯とその意義について理解している。」
つまり、歴史について理解すべきなのは、せいぜい平成8年改正とその後の改正履歴くらいだということであろう。学者サイドからすれば、法律家たるもの、当然の基礎知識として明治の法典編纂、そしてその前提となった西洋法史の大まかな知識くらいは知っておくべきというわけだろうが、弁護士サイドからは、実務家としての最低限度の知識にはならないということだ。
このほかにも憲法上の裁判を受ける権利との関係を当然知っておくべきと考えるコアカリキュラム案に対して、削除してしまった意見書とか、対比的に見れば興味深い点が沢山ある。
受験勉強に忙しいロースクール生はともかくとして、学部で法学を学ぶ学生諸君は、両者を対比して見方の違いを分析してみると面白いであろう。
追記:コメントを寄せてくれた宮武=徳岡先生のブログでも紹介されている。
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コメント
文科省のコアカリキュラムを見て、正直、基本書の目次だなあと思いました。
学ぶ側からすると(教える側も同様かも)、あれだけ、べったり平べったく項目が並んでいて、それぞれの重要性の違いがわからないのでは、勉強の濃淡のつけ様がないと思います。
労作だとは思いますが大いに改善の余地ありですよね。
投稿: 徳岡宏一朗 | 2010/02/28 01:32
連続ですみません。
科目によってスタイルが違いすぎるのは良くないと思います。
第一次案なのでしょうがないのでしょうが、全体を統一する方針が弱いようです。
投稿: 徳岡宏一朗 | 2010/02/28 01:34
各科目は、それぞれの専門の先生たちが作成したのでしょうから、横に調整するという発想自体がなかったのかもしれません。
ただ、他の科目の一部にリファーしているので、全く見なかったというわけではないでしょう。
私自身は、民訴以外は見てもいないので、何も言えないのですが。
投稿: 町村 | 2010/02/28 09:55