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2010/02/09

Book:こんな日弁連に誰がした?


弁護士ブログの中でも有名な花水木法律事務所の、小林正啓弁護士の連載を基にした新書である。

おりしも、小単位会の多数(つまりは地方票)と大単位会の多数(つまりは東京票)とが一致しなければ会長選出がデッドロックに陥るというシステム的欠陥が露呈した会長選挙があったばかりで、思わずそれを探してしまったが、もちろん本書の成立当時には未来の出来事であった。

さて、この本の著者は、当の司法制度改革と法曹人口増大の時代は無関心派であったという。昔の言い方ならノンポリというわけだ。
ところが宮崎現会長の路線転換、すなわち3000人体制へ着実に進めるという方針から増員ペースのスローダウンを打ち出したのを見て、初めて日弁連主流派が増員一辺倒ではないことを知ったというのである。

そして著者によれば、大部分の弁護士は50歩百歩だったという。

そのことが、私には驚きであった。

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コメント

法科大学院の生徒も目先では合格者増を求めていますが受験生活が終われば弁護士生活が待っているので短期的にはともかく中期的・長期的には弁護士人数の適正化が彼らの利益にもなると思います。
もう日弁連の会員は精一杯背伸びして新人を受け入れ限界に達しました。兵庫でも即独が2人出ました。次の就職はこちらのキャパシティが限界なのでもっと厳しいと思います。
デフレ経済なのに弁護士だけが増えることはモラルハザードも招いておりむしろ市民にとってもマイナスです。一年の合格者は1000~1500あたりが良いのだろうと思います。

投稿: 徳岡宏一朗 | 2010/02/10 12:33

もともと日本の弁護士数が異常に少なかったのが問題なんですよ。私も以前に会社勤めをしていた時労働問題の相談をしたかったのですが、ネットにも広告が出ていない、アメリカのようなラジオ広告もなく、もちろん知り合いに弁護士はいなくて、諦めました。

結局自力では解決できなくて会社を辞めましたが、もしアメリカのように弁護士がたくさんいて気楽に相談できればいい解決ができたと思います。

日本の場合、数の問題だけではなく日弁連のような左翼団体に強制加入になっていて、どうしても業界全体が特定の政党と近づいてしまい、普通の人は抵抗感があって相談しにくいという問題もあるようです。

さらに増員して、共産党色が薄まれば、だれでも気楽に相談できるアメリカのような体制を創れるんじゃないでしょうか。

投稿: とおりがかり | 2010/02/11 09:56

徳岡先生のおっしゃるモラルハザードというのは、「道徳の荒廃」ぐらいの意味ですかね。
私は数をもとにした議論は不毛だし資格試験にはあり得ないと思ってますから、何人ぐらいが適当といわれても賛同しません。また仕事が少ないから新規参入を絞るべきというのも、談合肯定論ですから賛成できません。
ただし、弁護士さんが担う仕事が公益的な仕事だから、税金を投入すべきだという話なら賛成します。

とおりがかりさんのおっしゃる日弁連=左翼団体というのは、理論的には間違ってますが実態としては正しいというあたり、『こんな日弁連に誰がした?』に分かりやすく説明されていますから、是非お読みになることをオススメします。
増員しなくとも、冷戦期を知らない子供たちが弁護士さんになって多数派になれば、自然と、イデオロギー色は薄まるでしょう。ただ、弱者や少数者、被差別者、あるいは財力や権力を持たない普通の人たちの利益を守ろうとする姿勢は、法律の基本的な精神に根ざしているので、「左翼イデオロギー」とは関係なく生き残る気がしますが。

投稿: 町村 | 2010/02/11 14:25

弁護士が、業界全体として特定の政党と近づいているということは理論的にも実際的にもありません。弁護士政治連盟という任意団体もあるのですが、基本的に、特定の政党に偏らない、全方位外交的な団体です。

左翼的か否かは、中心軸をどこにおくのかによって評価が異なるのでなんとも言いようがありません。

法曹人口論に関しては、建前論はいいけど、法科大学院は自校の卒業生をどうしたいの?という話になっていくのではないかと思います。既存の法律事務所が無理することをやめて年間1000人程度しか新人を採用しなくなったときに、新人を採用してOJTを施さない既存の法律事務所を罵る以上のことをする覚悟が法科大学院の側にあるのか、ということです。この数年間、法科大学院卒業者の進路に配慮してきたのは弁護士会側だけであって、法科大学院側は金とって卒業させてしまえば後は野となれ山となれ路線を維持したままです。私の事務所にも、ノキ弁でいいから新人を事務所においてもらえないかという要請ファックスは弁護士会からくるものの、法科大学院からは何のアクションも来たことがありません。

投稿: 小倉秀夫 | 2010/02/12 00:57

町村先生も小倉先生も歯に衣着せませんね。
町村先生は従来から資格試験なんだから合格レベルに達した人が合格すべきでそれが年100人か1万人かはわからないし人数で決めるべきじゃないという立場ですよね。合格レベルを絶対評価できるのかという問題と受け入れ側が毎年人数が違うと対処できないということもあろうかと思います。
法科大学院に教官としてかかわる実務家教授は難しい立場に置かれてます。
世間の風はだんだん冷たくなるし、確かに法科大学院制度に小泉的拙速・拙劣さが目立つということもあります。でも、生徒と教官が一生懸命やっているのも肌身に感じてますから。私も法科大学院創設反対派でしたが、今廃止論者かというとそんなことはない。また少なくとも法科大学院が院生卒業させて後は野となれとは思っていないんですが(どこも一生懸命面倒見てるはず)、弁護士の先輩達に院生をよろしく頼むとお願いすることはしていませんね。しなきゃいけないかもしれません。

投稿: 徳岡宏一朗 | 2010/02/12 06:27

お願い。この小倉っていう弁護士の事務所には毎月、あるいは毎日でも効果があるまで就職依頼のFAXと電話をかけていいけど、その他の事務所にはやめてね。
効果はないし、ローの信用を今以上に落とすだけだから。

でも小倉弁護士のところには、弁護士会に負けないようにFAXしないと、後は野となれ山となれという態度の証拠になるらしいけど。

投稿: 弁護士 | 2010/02/12 09:03

卒業生の就職状況が厳しいときに、学校として受け入れ先の確保に奔走するなんて、高校でも、大学(学部)でも普通だと思いますが(同じところに毎日FAXする就職課は希だと思いますが。)。

法曹人口の大幅増員を主張する人たちは、それに伴う混乱の後始末を弁護士にのみ押し付けて平然としているので、困ってしまいます。

投稿: 小倉秀夫 | 2010/02/12 10:05

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