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2010/01/23

TV:「世界びっくり人間」の過剰演出

私は見ていなかったのだが、「世界びっくり人間」というフジテレビの番組があり、ウェブページも残っている。

そこには、こうある。

中国雑伎団で活躍する、17歳の軟体少女、リー・ナンちゃんが、日本の13人大家族と一緒に暮らすことに! リーちゃんの演技を目の当たりにして家族は衝撃を受ける一方で、大家族の朝のトイレ戦争にリーちゃんは衝撃を受け…。そこで「家族の一員」として過ごした日々で得たものとは…?

この番組の舞台になった大家族のお母さんが、撮影の様子などをブログ「信子母さんの大家族日記」に書いている。これがショッキングな内容なのだ。Twitterで話題となっていた。

中国語の話せない私たち家族は、 事前に、中国語のカードや、絵を沢山準備しておいて、 彼女とのコミュニケーションをはかりました。

リー・ナンちゃんは、よく笑い、子どもたちとすっかり仲良くなりました。

一緒に、娘の高校へ行って、授業を体験したり、
阿蘇の山へ行ったり、
猿回しの舞台を見て、笑い転げたり、
一緒に料理を作ったり、遊んだり。

こんな感じで、大家族の子どもたちとリー・ナンちゃんは初日から溶け込んでたっぷり楽しんだそうだ。
ところが、テレビで放映された姿は違った。

“リー・ナンちゃんは、言葉が全く通じず、うるさい大家族のところへいきなりやってきて、面喰ってしまった” というところから番組は始まります。 え?一日目から、楽しそうだったけど?… “朝、柔軟体操をするリー・ナンちゃん。 ところが、それに気づいた子どもたちがすぐにやってきて、彼女はちっとも集中できません”  …そんな場面が続きます。

柔軟体操をしているリー・ナンちゃんに、子どもたちは遠くから見ていたところ、スタッフに促されて近くに寄っていったというのである。
その他、携帯電話で写真を撮ったというのが文化摩擦のように描かれているが、これもスタッフがせっかくだから写真を撮ったらどうかと言ってとらせたというのである。

詳しくは上記ブログを参照してほしいが、番組台本にはそんな文化摩擦に驚きながらやがて打ち解けて最後は涙で別れを惜しむストーリーが書かれていて、実際には最初から仲良くなって最後は涙の別れとなったのを、台本ストーリーに沿った内容に描いたというのである。
そして間抜けなスタッフが台本を取材先の家に忘れていって、その筋書きがばれてしまったというのだ。

この話、見解が異なる一方当事者の書いたブログだということをふまえなければならないが、事実だとすれば、ずいぶんなことである。
こういうことを見聞きして驚く方が世間知らずでおぼこということなのであろうか? まあ、関係者はそう言うかもしれない。そしてそのように言う人々の感覚は、鈍磨していると言わざるを得ない。

ドキュメンタリとドラマとの区別が曖昧なところで感動的な物語をこしらえ、視聴者がそれを承知の上で楽しむというのであれば、プロレスだって似たようなものかもしれず、その限りではとやかく言うべきことではない。実話を強調する感動物語というのも、本来は夜店のくじ引き程度のものかもしれない。
 しかし上記のブログの内容が正しいとすれば、出演者も承知の上というわけではない。この点が問題で、不誠実の誹りを免れないのだ。

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